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妖跋に駆ける  作者: ルールールー
1/3

試験編

今回が実質初投稿のルールールーです。

読んでみたあと、高評価でも低評価でも称賛でも批判でもぜひぜひコメントなどなどください。

多種多様な意見を取捨選択して取り入れていきたいと思います。

これからよろしくお願いします!

ではこれから主人公たちが妖跋に駆けていく世界をお楽しみください。

1989年 とある山にて―

「なあ噂を頼りにこの山乗ってきたけどよ、実際あの噂は本当だと思うか?」

「知らねーよ。でもまあ噂なんて荒唐無稽こうとうむけいのものがほとんどだし今回のもそういう類のだろ」

「なんだよお前びびってんのかよw」

 俺達は今三人で真夜中に山を登っている。深夜に酒を飲んでいて程よく酔ってきたところで挙がった話題が最近巷で有名な噂だ。

 なんでもこの山から血塗れ(ちまみれ)の人が下りてきたところを近隣の住民が見たらしい。もちろんそんなところを目撃してしまっては保護しにいかないわけにはいかない。少々パニックになっていたその住民は救急車を呼ぶ前に家を飛び出していった。…が山を下ってきた人がいたはずの場所には血の一滴すらなかった。念のためその住民は少し辺りを確認していた。すると木の後ろから人型の何かが住民を見ていたらしい。それを見てしまった住民は血の気が引き、一目散に駆け出して家の中に逃げ込んだ。翌朝それを仲のいい近所の人達に話し、念のため確認しに行くもなにもいなかったという話だ。

 俺達は肝試しにと今その山に登っているところだった。

「まあ案の定というか何もないな」

「そりゃそうだろ」

 彼はいった。

「そもそも血塗れとか現実離れしてるものが出てくる時点で信憑性は皆無かいむだしな…にしてもなんかさみーなー」

「もう11月だしそりゃ多少なりとも寒いだろ」

「この寒さはちょっと異常じゃねぇか?」

 しばらく口を開いてなかったもう一人の友人が突然短く悲鳴を上げた

「どうした!?」

「あ…あれ…なんだよ?」

 彼が指さした方を向くと少し裂けた大きいまゆのようなものがあり、裂け目からは何かが漏れ出ていた。よく見ると裂け目が徐々に広がっているように見える。

「おいおい…まじかよ…」

「おい!逃げないとやばくねーか!?あの裂け目が広がるのに比例して寒くなってる気がする!!」

 俺達は全速力で走り出した…が時はすでに遅かった。次の瞬間繭のようなものが異常な冷気を吐き出しながら爆発し、俺たちはそれに巻き込まれた。周辺の木々は凍り付き、まじかにいた俺達は言うまでもなく凍死した。そして、破裂した繭からはこの世とは思えない異形のもの達が次々と出てきたーー

「ふん」

 死んだはずの俺の体が勝手に動く。

「繭の近くにあった死体にとりついたものの記憶を探ってもろくな情報がないな」

「まあいいじゃないか」

「情報がなくともこれから手に入れればいい」


 時は流れ2019年――

〈近隣の市民へ緊急警告いたします。ただいま第4地区北部にて大型呪妖おおがたじゅようが観測されました。いまだ顕現けんげんはしておりません。これより北部を戦闘区域とします。近隣の住民は近くにおります妖跋隊員ようばつたいいんの指示に従い避難してください。繰り返します…〉

「さーて今日もはらいますかー」

『希!ほんとに一人でやる気か!?』

「いいからいいから。派手にやるから住民の避難だけ頼む。」

 “災厄さいやくの夜”と呼ばれる夜から30年。裏社会で活躍していた俺達が日の目を浴びるようになった。それが彼ら妖跋隊ようばつたいだ。

『妖気呪気の濃度が急激に上昇!推定あと30秒で顕現します!』

のぞむ!一人でやるとか言って死ぬなよ!!』

「わかってんよ。うるせえな。」

 彼らは人類の希望となりしるべとなった。

『2,1…顕現します!』

 その筆頭が…

 グウルウアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!

「ナンバーズ第1位。CN:望。押して参る!」(CN=CODE NAMEの略)

 彼だ。彼が所属を報告した次の瞬間大型呪妖の心臓が吹き飛んだ。

『これが…“希望”の力…』

「我流空間呪式“虚空こくう”…本部に連絡する。大型呪妖討伐完了だ。」

『了解だ。ご苦労だったな、希。』

「これから本部に戻るよ」

〈報告いたします。つい先ほど、ナンバーズ第1位 のぞむ により大型呪妖が討伐されました。被害確認ののち、その程によっては戦闘区域指定を解除し、住民が戻るのを許可いたします。〉

 スピーカーで討伐の知らせが鳴り響く。この一部始終はテレビで放送されていた。望は世界で一番といっても過言ではないほどに強い。故に皆の希望で在り、憧れでもあった。


翌年2020年

妖跋隊訓練校試験会場――

 ようやく試験を受けれる。俺は絶対にこの試験にうかって訓練校に入ってやる。

「おっ!」

俺の後ろから聞き覚えのある声がした。

「かっける~!互いにうかるといいなぁ!」

「彩乃か!」

声をかけてきたのは彩乃あやのだった。彼とは古くからの友人だ。

「そろそろ8時だし行こうぜ!」

「遅刻で減点もあり得るもんな!」

冗談交じりで俺は言った。

「まじか!」

「いや知らねーよ。俺試験官じゃねーもん」

「なんだよ冗談かよ」

俺達は様々なことを話しながら試験会場に入っていき、案内さんの指示に従いながら筆記試験会場へと向かった。

「遅刻はしなかったな」

「じゃあな駆!俺の席向こう側だからしばしのお別れだぜ」

「くれぐれも転ぶなよ~」

「不吉なこと言うなよ」

軽口をたたきながら別れた。きびすを返し席へ向かう彩乃の手は少し震えているように見えた。筆記試験は自信がある。2年前からちゃんと復習してきたんだ。間違いなく合格ラインは超える。問題は実技試験だ。俺の能力でどこまでやれるか…。

「アテンションプリーズ!」

ざわついていた試験会場が静かになった。声のする方を向くと美人な女性が立っていた。

「これより筆記試験の簡単な説明を始めまーす!」

試験官は妖跋隊の隊員がやると聞いていたが目の前にいる女性はとても隊員とは思えないほど口調がフランクだった。彼女が説明をし始めた。

「まずは筆記試験!これからこの試験用紙を配っていきます!」

彼女は説明を続ける。説明の大まかな内容は、試験科目は三つあり英語、数学、化学がある。それぞれ1時間で終わらせる必要があり、時間を過ぎると強制終了とのことだ。

「じゃあ最後に!」

彼女の雰囲気が変わる。

「この試験会場には私を含め計20名の監視員がいるが少ないとはいえ、違反行為をしようとは思うな」

続けて彼女はこう言った。曰く、妖跋隊の結界師が結界で会場を包み込んでいる。結界の中で自分の用紙以外を見ようとしたり、能力を使おうとするとここから弾き出すよう縛っている。とのこと。

「まあこんなに言っても毎年10名ほど馬鹿がいるんだがな」

そんなにいるのか。

「今年は0名であることを祈るよ」

そう言って彼女達試験官は試験用紙を配り始めた。配り終わると彼女の後ろにある巨大なモニターにタイマーを映し出し、それをスタートさせた。



最後まで読んでいただきありがとうございました。

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