突然の告白と盗み聞き
自分は授業が終わりすぐに家に帰ろうと思っていた。午後には皆も帰って来ているはずだ。
すぐ家に帰ろうとした理由は父さんの仕事の心配がまたすぐに込み上げて来たからで、こういう時に携帯があれば父さんからのメールが来てどうなったのか分かるが携帯は父さんの原則で高校になってからでないと持つ事は出来なかった。
だから今は兄妹の中で、高校生になった圭吾がやっと持ったという感じである。
海藤が自分を連れて来たのは、学校のすぐ近にある公園だった。
まだ午後の3:00ぐらいなのに公園には大人はおろか子供さえもいなかった。
「まぁここら辺でいいでしょう」
海藤はそう言うと眼鏡を外し、ベンチに座りわりもせず、立ったまま自分の顔を見て改めて話の内容を言った。
「話の内容ってのは君の父親の道重って人の事だ。」
突然敬語を言わなくなり、海藤の話に父さんの名前が出た事に自分は驚きを隠せなくなった。
「え…」
「君の父親は俺の親が原因で仕事を辞めさせられそうになっている」
自分は目の前にいる海藤が何を言ってるのか分からなくなった。
「…あんたの親が…じゃあ、趣味で人の個人情報を勝手に調べてる人って…」
自分が慶が言ってた事を思い出して言うと海藤は口元を緩めて笑みを浮かべた。
「へぇ、もう噂が広まってんだ…そうだよそれは家の親だ、なんでも知ってる君の事も家族も友達もあの学校の人なら全員ね」
まるでさっきの無表情・敬語が嘘のようになくなり別人のようだった。
自分はその微笑みでこの人は敵かも知れないと思った。
「…それなら、あんた家の父さんが暴力教師だって事は知ってんだよね?」
自分の声は明らかに暗くなっているが分かる。
「あぁ…知ってるよ?でもそれは事故だったって事もね…最初、廊下で待ってる時に君の名前が耳に入って来て正直驚いた」
だから名前を知ってたのか…だけど何故事故って事を知っている?個人情報には事故なんて書いあるはずない、生徒を殴り怪我をさせた暴力教師など書かれているのだろう。
「なんでわざとじゃないって知ってんのか疑問に思うか?」
心を見透かしたかのように海藤が言った。
自分が頷くと海藤は話し始めた。
「ちょ、ちょっと待ってよ!!」
咲希はやっと藤木の姿を見つけて叫んだ。
「なんで、お前まで来てんだよ!お子様はお家に帰れ」
「なっ!あたしだって真那に何かあったら困るの!!」
「俺は進藤と海藤って奴との会話が聞きたいだけ」
「はぁ!?聞いてどうすんのよ!」
てっきり心配して追い駆けてるのかと思ったが、勘違いだったらしい。
それに尾行なんていけない事だと思っていたのになんで自分まで走ってしまっている。
だが、もうあの二人の姿はなくてこれはもう尾行ではなく、こうなってしまっている。
藤木→真那・海藤
↑
咲希
解説は藤木が二人を探し、咲希が藤木を追い駆けるという感じになってしまっている。
咲希が変な事↑を考えていると急に藤木が「おっと」と言って足を止め、視線をある公園へとやった。
咲希も足を止めて藤木の視線を追った。
そこには、何かを話している二人がいて何故か真那は深刻そうな顔していて海藤さんは眼鏡を取っていた。
「よし!盗み聞きしちゃお」
いかにも楽しそうに弾んだ声で藤木は言い二人に見つからないように近づいて行った。
「ま、待ってよ!」
咲希も藤木の後を追うように近づいて行った。
話の内容がどれほど深刻かも知らずに。