突然の転入生!?
自分が学校に向かっていると、同学年か先輩か後輩か分からないが走りながら登校しているのが見えた。
そういえばいつも遅刻していたから人が登校しているのを見るのは久しぶりだ。
なんて思ったが「こんなこと思ってる場合じゃない!走んないと間に合わない!」と我に返って自分も後に続くようにして走った。
校内に入ると、チャイムが鳴り始めたが階段を登るのが辛く足が止まってしまった。
やばい!このままじゃまた遅刻だ!!
やっとの思いで教室がある階まで登りきり、教室までダッシュで行った。
チャイムは鳴り終わりそうになっていたが、なんとか席に着いた。
先生は、まだ来ていない。
「よかった…」
「…お前がギリギリセーフで教室に着くなんて珍しいな」
着いてそうそう話しかけてきたのは、隣の席の藤木だった。
「自分だってやる時はやるよ、それに今日は兄妹達より早く起きたんだから!」
「じゃあなんで、こんなギリギリなんだよ?」
「それは…」と自分は理由を言おうとしていた。
「あんたには関係ない」
口を滑らせたと思い、言うのを辞めた。
「なんだよ…だけどさ、お前も謎だしお前の家族も謎だよな…」
謎?何の事だ…?藤木は何故そう思う?自分は、ただ父さんの事を秘密にしているだけだ。
「そう…ただそれだけ…」と何故か思った事を口に出していた。
「は?」といちいち疑問を抱く藤木に対して「なんでもない!」と叫ぶよう大声で言った。
「何がなんでもないんだ?」と言った途端、疑問の声。
前を見ると、もう先生が教室いた。なんで気付かない自分!!
「えっと…なんでもありません…」
自分の声はさっきの声量はどうしたと言いたくなるほど小さくなっていた。
「遅刻を免れたからといって大声をあげていいなんて言ってないぞ」
「はい…」と言いながら隣に視線を向け藤木を睨んだ。
藤木はフッと笑み浮かべて自分を見ていた。その笑みが腹立たしかった。
先生は今日の予定などを言い終わると前のドアを開けて「そして今から転入生を紹介する」と言った。
はっ!?と自分は目を見開いた。突然すぎるな。
その一言で当然ながらも教室中は事件でもあったかのように騒ぎ出した。
先生に入るように言われて入って来たのは、如何にも勉強できるというオーラが漂っている1人の少年だった。
顔は整っている方で表情は無表情、眼鏡を掛けていて眼鏡の奥の瞳は鋭そうな瞳をしていた。
女子は目を奪われている人もいて男子の表情は何故か強張って見えた。
「静かにしろ紹介できんだろうが…林中学校から来た」と先生が言ってから「海藤祥です、よろしく」とその人が自己紹介した。打ち合わせをしたのは誰でも分かるだろう、あっさり終わった。
先生は「皆、仲良くするように」と言うと海藤って人に席を教え、教室を出て行った。
こうして、教室の中が騒ぎ最高潮に達したとき休み時間になった。
「うるさ〜い!!」
「ホントだよ…マジうるさい!!」
自分に同意してくれたの咲希だった。
「なんだよ、お前ら…あいつの所行かないのかよ?」
藤木が呆れ顔で言ったが自分は「なんで?別に理由なんてないよ…あんたが行ってくれば?」と返した。
「なんで俺が…」
「それよりさ、よく遅刻しなかったね?真那。でも大声出したのはいけなかったね…また藤木が原因でしょ?でもあの人よりまだ藤木の方がいいな!」
咲希が一人で話を進めにっこり顔で言った。
マシと言われたので腹が立ったのか「お前なんかにマシとか言われたくない!」と藤木。
「こっちだって御免だよ!!」と咲希。
二人の会話で自分は自然に笑っていて父さんの心配していた気持も吹っ飛んでいた。
その笑い声につられたのかチャイムが鳴り、授業が始まった。
だが、あの転入生が自分と関係することになるとは今の自分は思ってもいなかった。