仕事消滅の危機!?
母さんが家を出て行った理由は、謎なのだが父さんとは別れるつもりだったのは間違っていないと確信していた。
そんなことを思いながら、授業で先生に当てられ問題を解き間違いながら、帰り道で犬の尻尾を踏んで逃げながら学校での1日が終わった。
家に着くと何やら胸騒ぎがした。
家に入るといきなり体当たりという風に芽衣(次女)が突っ込んできた。
何と元気なことだろう、でも体当たりなんて小学校で卒業してほしい(あと1年で中学校である)
「何すんの!馬鹿!!」と突っ込んできたままの格好で全く動かない芽衣を肩をを掴んで退かそうとすると「姉ちゃん…」と泣きべそを掻きながら今度は、しがみついてきた。
どうやら自分の予感は的中したようだ。
「どうしたの?何かあったの?」
「お父さんが…お父さんが!!」
叫ぶように言ってきたがお父さんとしか言わないので何があったのか分からないので、芽衣を落ち着かせると皆がいつも揃うリビングに行った。
中に入ると、兄妹全員揃っていた。
だがいつもいる父さんだけがいなかった。
皆が皆暗い顔をしていて沈黙が続く。
「何?皆どうしたの?そんな暗い顔しちゃって…」
今度は、皆に疑問をぶつけると圭吾(長男)が重い口を開いた。
「…父さん…仕事辞めさせられるかもしれない。」
その一言を聞いて自分は驚愕した。
圭吾は何かを言おうとして改めて自分の顔を見たが、視線を床に向けて俯いてしまった。
きっと自分は今人生で一番顔が強張っているのだろう。
「何で…やっと1年も頑張って探した仕事なのに…」
「暴力教師だってことがばれたんだよ、それも塾通ってる生徒の親に」
慶(次男)が冷静に言った。
「…何で…誰にも言ってないはずなのに…」
「俺らだって言ってねぇよ…第一言いたくねぇしな」
じゃあ何故だ?と疑問を持ったがそれは一瞬にして無くなった。
「…個人情報とか調べられたんだろ、きっと」
「あ…」とその一文字で何も言えなくなった。
「それにその親、超人の個人情報とか調べんの趣味になってるらしいし、自分の子供が通ってる学校の教師や生徒の事とか色々調べてるらしい」と自慢げに慶が言った。
何でそんなこと知ってんだ、お前は…という視線を送った。
「と、とにかく父さん今は多分その親と話し中だと思うよ」と話を変えた。
最後に違う学校でよかったーなんて事も言った。
親の一大事によくそんな事が言えたもんだ。
圭吾はまだ俯き状態、芽衣もまだ泣きべそをかいていた。
自分は父さん大丈夫かな…と思っていた。
自分たちはその日ただただ父さんの帰りを待つだけだった。