遅刻
(バシッ)今日も部屋中にハリセンの痛々しい音が響き、その直後目覚まし時計もなった。
また叩かれたのかと気づくのは、叩かれたところがジンジンと伝わってきた時だ。
「イッタイな〜!なんでいつも自分ばっかり叩くわけ?」と言うのは、毎度毎度叩かれる長女の真那(自分)だ。
「なんでってお前が皆より寝付きが悪いからだ!」
父さんは、さっき叩いたハリセンを持って自分の目の前で仁王立ちしながら言った。
「はぁ?そんなことで?第一皆だって寝つき悪いよ!!」
「いやお前のほうが悪い!父さんだっていい方だぞ!」
自分で言うなと返しながら起きると、さっきまで寝ていた3人がてきぱきと学校に行く準備をしている。
畜生、自分たちだけいい思いしやがって!!
怒りの感情を押し殺して自分も支度をしなければと思い、時計を見た。
7:50になるところだった。
ヤバいこのままじゃ遅刻すると思い、父さんとの無駄話をしたことを後悔した。
今日も朝食抜き、髪もボサボサ、制服もボタンをかけ間違えながら家を出た。
遅刻なんていつものことだったが、高校内申についてしまうと聞いてもうしないと誓った。
「父さんと話すとこうなるから嫌だ、皆も置いて行くことないだろう!」と学校が近くなると今頃独り言を呟く自分がいた。
走って走ってやっと門まで着いたが、着くと先生が立っていて門を閉めようとしていた。
「もうチャイムも鳴ったぞ、早く教室へ行きなさい」
返事をして時計を見ると8:25になっていた。
誤解しないでほしいのは決して足が遅いわけではない、距離があるだけだ。
遅刻だと実感すると教室まで走って行った。