情報キャッチ?
咲希と藤木は行こうと言いながらも二人を見失い、道に迷っていたが藤木が隠し持っていた携帯電話で友達に電話して塾の行き方を教えてもらった。
“街にある塾”とまぁ適当な説明で言い始めると友達には何故か伝わり、学校の正門を右とか小さい頃よく行ってた駄菓子屋の横の細い道を通るとか、藤木の適当な説明とは全然違い、詳しく道を教えてくれた。
藤木が、お礼を言って切ろうとすると「よく知らないで生きてたな」なんて一言多い事を言われたらしいというか“らしい”ではなく、言われた。
そんな事どうでもいいと思い、「よし、さっそく道が分かったところで早く行こう!」
咲希は携帯をしまう藤木をよそに急ぐように言うと走り出した。
「ちょっと待て!」
「何?早くしないと…」
「これ、見ろよ」
咲希は藤木が何かを発見したのか視線が横に向いていたので咲希も横に視線をずらした。
二人の視線の先には掲示板があり、そこに張り出されていたものが二人の目を見開かせた。
「何これ?」と咲希。
「この人、海藤の父親?の事だよなぁ…」と藤木。
そこにはあの塾の事が書いてあり海藤の父親の名前も書いてあり、塾を買い取るとも書いてあった。
「はぁ?“現在、塾に通ってる人は即刻辞め出て行きなさい。”だってありえないよ!酷い、この人」
咲希は声を張り上げ、書かれてあった言葉の一文字一文字を睨んで言った。
「ってか掲示板に張らなくて自分の口から言えよ…まぁ、そんな事より行くぞ」と藤木は話を切り替えて来た。
咲希は、お前から話が始まったんだろうが。とも思ったが藤木のおかげで情報が得られた。
掲示板はここしかないし、他の物と比べると紙はビニール製で新品と思われ画鋲はきちんと四つ止められていたので今さっき張られたのが分かる(ここら辺は悪い奴が多いので1日で紙がボロボロになるからだ。)
それに、この掲示板は重要な事しか書かれていない以上、誰も見ないと言ってもいいのだ。
咲希は藤木の顔を見て頷くと、二人は走り出した。
自分たちは、自分・海藤・慶・圭吾・芽衣の順で階段を登り入口のドアまで来た。
「この塾に通ってるのは俺の弟なんだ。今日は弟、来ないって言ってたんだけどな」
「じゃあ、その弟のクラスに行けばいいんじゃねぇの?」
慶が身を乗り出して言った。
ここには教室しかなく(廊下はあるが)、塾を経営するのもやっとであった。
なので、教師や子供・親の対談などは授業が終わった時や休みの日でやっている。
「まぁ、いない事はないだろう」
圭吾がそう言うと、慶がいきなりドアノブを回した。
自分たち驚いたが、こんな所で突っ立っていたってしょうがないと思い何も言わなかった。
ドアを開けると、短い廊下があり3つ程の教室と思われるドアがまたあった。
部屋は静まり返り、土足でもよかったので足音が廊下中響いた。
だが、そんな事はお構いなしに海藤は先頭に立ち一番奥の教室に向かった。
そこが弟さんの教室なのだろうと分かると、自分たちも海藤の後に続いた。
ガチャッと音を立ててドアを開くと慶の予想は的中し、父さんと海藤の父さん二人がこちらを見向いていた。