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到着

自分は他の事は考えずにただ塾へと走っていた。

父さんのために父さんを助けるために。


「ちょ、ちょっと待て!お前、足速過ぎ!!速度落とせ!」

海藤が息切れしながら、前に走っている自分に言った。


「こう見えて、足には自信あるんだ!」

自分は振り向かず前だけを見て、自慢げにそう言った。

その理由は1年の頃から今まで毎日遅刻して走っているから慣れしまったのだろうという事だ。

だから、「もう毎朝ジョギングしていている程、日課になってます」と言っても良くて体育大会ではリレーの選手になり1位を取れる程にもなった。

なので、体育では+の方へで内申では−方へと進む。


「あ、見えた!」

余計な無駄話(?)をしたところで塾の目印となる看板が見えた。

看板には“個別・クラスでも最高の学習方法を教えます”と書いてあった。


「着いたけど、どうすんだよ?」

「…とりあえず、皆に伝えるよ」

「は…?皆って兄妹にか?伝えてどうすんだよ?」

海藤の質問を聞かずに自分は塾の真正面にあった公衆電話に向かった。

だが、入った瞬間お金がない事に気づき、ポケットに手を突っ込むと何故か30円が入っていた。

それは、この間咲希と一緒に学校帰りに先生や同じ学校の生徒にばれないようにコンビニ向かってお菓子を買った時のお釣りだった。

自分は兄妹などに見つかったら、真っ先に父さんに言いつけられるので辞めようと言ったのだが、咲希が大丈夫と言うので買ってしまのだ。

幸い、誰も見ていなく無事に買い終えたが今になって咲希に感謝である。


「この30円を使っていいのか?」

自分は今更ながら戸惑った、あの兄妹は鋭いので自分が忘れた頃に「なんで、金持ってたんだ?」なんて疑問を持たれそうだ。

だが、今はそんな事思ってる場合じゃない!

自分は思い切って電話を掛けようと30円全額入れ、電話番号を押した。


掛けて数秒すると「はい、進藤ですけど?」と、まぁ礼儀正しい(?)言葉遣いで誰かが出た。

低い声の奴だったがこの声は慶だと分かった。

「もしもし?慶?」と自分が訊くと、その一言で「姉ちゃん?」と気づいてくれた。

「今どこいんだよ?皆、心配してんぞ!」

「ごめん、実は皆に頼みがあるの。今塾に来てて、これから父さんの所に行くの!だから皆もこっちに今すぐ来て!」

「はっ!?なんで?皆で乗り込むとか言うなよな」

「ご名答!だから、皆に伝えて早く来て!」

そう言うと自分から受話器を置いた。

その行動につくづく自分勝手だなと思ってしまう。


「よし!後は皆を待つのみかな?」

「何が?よし!だよ、ここで待つってのか?」

海藤が冷めた目で自分を見て来た。


「別に、あんたも待ってなんて言ってないよ」

「お前…ここで待たなきゃ、俺が来た意味ないだろうが!」

海藤はそう言うとそっぽを向き捻くれた。


「それに俺だって父親に言いたい事がある…」

自分はその一言に疑問を持っがそれ以上何も言わず兄妹たちの到着を待った。

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