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海藤祥の対談と行動

「ホントに、こんな事して良いの?」

咲希が困惑気味にそう言ったが藤木は咲希の言葉を無視し、人差し指を立てて静かにという仕草をした。

咲希は何かを言おうとしたが二人と自分との距離が一気に近くなった事に気づくと、慌てて手を口に当てて声を押し殺した。

藤木は話している二人に気づかないように声が聞こえる程度に距離を取って、公園の茂みに隠れた。

咲希も良いのかと戸惑いながら茂みに隠れ、二人の話を聞くことになった。

真那、ごめんと心の中で叫びながら。




海藤は「あんまり沈黙のムードになりたくはないんだけどね、話すよ」と言い自分の顔を見つめて来たが、その眼力は何かを訴えているとでも言うかのようだった。

何故、自分を見つめてきたのは分からないが自分はその眼力に負けて目を反らした。

そ直後に海藤は自分が反らすのを待っていたかのように話し始めた。この人の中での決まりというのがあるのだろうか?


「俺の親は君の父親と同じ高校で働いてたんだ、だけど働いていたのは母親で、君の父親を辞めさせようとしてるのは父親なんだ…当然、母親は君の父親が暴力教師って辞めさせられよとしてるのを知って真実を父親に話したんだ…だけど父親は母親の話は嘘っぱちって決め付けた。でも耳を傾けないのはいつもの事だったから今回は何回も言えば信じるんじゃないかと思ってしつこい程言ってた。だけど父親は仕事を一緒にしていたからって庇うな、なんて言った。さすがに母親ももう何を言っても無理だと思ってしまってさ、要は君の父親を見捨てだんだ。かつて一緒に仕事をしていた人を…こんな話、聞いて許せなくなったんじゃない?」


海藤は話終わると、自分の返答を待った。


自分は「…全然、むしろ感謝…かな?」と言った。

「は?」

海藤は自分の返答に唖然としたがそれよりも自分が自分の返答に驚いていた。

まさか、自分の口から感謝なんて言葉が出るとは思っていなかったが嘘は言っていないとも思う。


「いや…だって真実を言ってくれたんじゃん?それって家の父さんにとっては、どれ程嬉しい事か…」と言い終わった瞬間、自然に涙が出ていた。


「え…」

海藤の強張った表情が歪んで見えた、それが涙のせいと分かった時にはもう涙が止まらなくなっていた。


「…ごめん…泣くつもりじゃなかったんだけど…本当にごめ…」と言い終わる前に何かが起こった。

自分にも何が起こったのか分からなかったがそれは時間が経つにつれて、それは海藤に抱き締められている事だと気づいた。


「え…」

自分はこの状況にどう対応すればいいのか分からなくなった。

ただ驚きと共に涙が止まり、思考も停止していた。

海藤は何も言わず自分を抱き締めているだけだった。



「え…」と藤木が小声で言うと、そう後は絶句した。

「…」と咲希も目を見開き絶句。

二人の話を聞く目的で来た藤木と真那を心配して来た咲希だったが海藤の話と行動に二人同時に絶句した。


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