第3話 新たな地球
「それでは、見せてもらおうか。」
俺は、司令官の椅子に腰を下ろすとそう言った。この椅子は、ガンダムシリーズの艦長の席をモチーフにしている。というか、司令室自体が、ガンダムのデッキをモチーフにしているから当然だが。
「スクリーンをご覧ください。」
「これはなんだ?」
俺の前に映し出されたスクリーンには、一面満開の桜の森が映し出されていた。
「放射線は?」
「検出されませんでした。ドローンが総司様の設置されたカメラを見つけ出し、解析しました結果…」
マーカスの話に俺は、呆然としてしまった。彼の話を簡単にすると、俺が眠ったあと、戦争は両国の大陸間弾道大型核ミサイルによって完全に荒廃し、両国の荒廃を理由に終戦を迎えた。しかし、荒廃したことで国民は、責任を大統領に転嫁し、ゲリラ活動を開始。軍との戦闘の末、殺害してしまった。政府が機能しなくなったその後、対応できずに強烈な放射線によって地上の生物の大半は、絶滅してしまったが、突如発生した天変地異によって放射線は、大気圏外に放出された。地球が自分自身を守ろうとしたのだろうか?それから数十年が経過する中で、街やビル群は、樹木等の植物によって隠され、その上に遥か昔の地球のような世界が誕生してしまった、というのである。
「シェルター内部の放射線は、どうなった?」
「先程、すべて処理しました。濃度は既に基準値以下です。」
「よし。それで、周辺に危険な生物はいたか?」
「居ないようです。小動物ばかりでした。」
「ならば、周辺素材を収集し、拠点を築くんだ。期限は1年間。他の連中が目を覚ます前に、俺とお前たち、そしてあいつらのための城を作り上げる。他のアンドロイドたちも動員し、強固な城を築くのだ。」
「堀はどうなさいますか?」
「周辺に河や湖はあったか?」
「大規模な河がございました。」
「では、護岸工事も同時進行で行わなければならない。すぐに準備を開始せよ。」
「資材の運搬等のための移動手段として、ハンヴィーや重高機動戦術トラックの使用許可を申請いたします。」
「許可する。ならば、ドローンに加え、OH58Dも利用して探索地域を今回の2~3倍程度に拡大し、周辺地域の詳細地図を作成しろ。カイオワは、俺が操縦する。」
「それは危険では。」
「勿論、他の武装ヘリの護衛と編隊を組むつもりだから心配いらない。」
「では、3機を護衛として伴うのを条件に。」
「わかった、わかった。では各自、自分たちの仕事に移るとしよう。」
マーカスは、本当に心配性で困る。お前は、俺のオカンか!っていつも感じている。まぁ、そんな風な設定にしたのは、ほかならぬ俺なんだが。俺は、司令室を出るとその足でヘリを取りに行った。
低空から接近して敵の情報を収集する戦術偵察を任務とした偵察ヘリコプターで、民生用のベル206をベースにした初期型のOH58Aカイオワは、1969年から実戦配備された。出力317馬力のアリソンT63A700ターボシャフトエンジン1基を搭載、最大速力が時速222キロ、航続距離480キロの性能があった。その後、81年に米陸軍が始めたヘリコプター改善計画に沿ってグレードアップされたのがOH58Dで、エンジンを出力650馬力のアリソンT703AD700に換装、トランスミッションも強化したほか、ローターも複合材の4枚羽に換え、最大速力は時速241キロ、航続距離555キロと飛行性能が向上した。ローターマストの上に設置されている球状の装置は、高倍率ズームレンズ付きのテレビカメラ、赤外線監視装置、レーザー測遠器を納めたMMS照準装置で、OH58Dへのグレードアップに際して追加された。稜線越しにMMSを突き出してホバリングすることで、機体を敵の目にさらさずに偵察行動ができる。OH58Dは胴体両脇にAGM114ヘルファイア対戦車ミサイル、ロケット弾ポッド、12.7ミリ重機関銃などを搭載可能で、一定の戦闘能力を持っている。
つまり、よっぽどの化け物にでも出くわさない限り、危険はない。それに随伴する武装ヘリは、AH-64E アパッチ・ガーディアン、Mi-24 ハインド、Mi-28 ハボックである。米軍機が1機、ロシア機が2機なのは正直仕方ない。地上強襲型のヘリに関しては、ロシアの右に出る国はいない。逆に米軍は対空型だからね。
これら4機を搬出用エレベーターに乗せ、俺は、操縦席についた。普通のヘリなら2人の乗員がいるが、家は、3人。といっても残りの2人は探索用のレーダー探知機の作業員と記録員。操縦と射撃は俺が同時に行う。紛争地帯を飛ぶわけではないので、特段心配はいらない。そんなことを考えていると、核シェルターの地下1階に到着した。ここから、ヘリ用の通路を通って、地上に出る。まさにエンジンを始動させ、飛び立とうとしたとき…
「総司様。」
「何だよマーカス。」
「くれぐれもお気を付けください。」
「そんなに心配すんな。1時間くらい飛行したら戻って来るからさ。お前も仕事をそつなくこなせよ?」
「かしこまりました。それでは、お気をつけていってらっしゃいませ。」
「わったよ。各機、俺に続けぇぇ!!」
「「「承知」」」
俺は、エンジンを始動させ、浮上すると速度を上げ、通路を飛び出した。
なんか、戦国モノよりも書いていて楽しい自分がいる。