夕焼けはこんなに赤くなかった

高校へ入学して間もなく、加賀見雷司（かがみ　らいじ）のクラスだけがオリエンテーションで無人島へのサバイバル体験をすることになった。

しかし、翌日、サバイバル中に、引率の間木田教諭が思想警察に生徒たちの前で逮捕されてしまうことで、日常が大きく変わりだす。

一方、雷司の兄の、加賀見央武（かがみ　おうぶ）は、新人の刑事として日夜捜査にあたっていた。

ところが、空き巣事件の犯人と思われる男の潜伏先がわかるやいなや、思想警察に介入され、強制的に犯人の身柄をひきわたされてしまう。

「思想警察」という、聞いたことのない組織がこの国に動いていることを知った兄弟は、彼らが摘発する反戦グループの活動に巻き込まれていく。

隣国と戦争状態にあるこの国の知られざる一面が、二人の若者から日常を奪っていくのだった。



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