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恐怖!人食いドリームランドのアクアツアー!

 ただでさえ人気ひとけのない土地。人はおろか、動物の寝息も聞こえない深夜12時。


 ぼく達はここに来ていた。


 あの日来た、ここに。



 昼休み。


 休憩室はそれなりに混んでいるけど、流石にもう定位置が出来ている。並ぶ事もないしエアコンも効いてる。


 そんないつも通りの昼食を取っていると、いつもとは違う展開が来た。


「小野くん。小野くんて、T市の人だよね?」


「うん。そうだよ」


 ちょっとびっくりしながら答えた。


 この会社でぼくに社交的に会話してくれるのは、この工藤さんだけだ。工藤くどう 美紀みき。誰にも明るく喋りかけてくれて、皆の人気者。ご多分にもれず、ぼくも工藤さんが好きだ。


 もっとも、ぼくが工藤さん以外とあんまり喋らないのは、嫌われてるとかいじめられているとかじゃない。ぼくが積極的な人間じゃないからだ。だから基本的に自分から話しかけないし、会話したとしてもふくらませもしない。うん。よくいじめられないな、って自分でも思う。これは会社の皆に感謝だね。


 そんなぼくは、小野おの 洋一よういち。25才、会社員。なんとなく仕事にも慣れてきた今日このごろです。


「じゃあさ、じゃあさ。裏野ドリームランドって行った事ある?子供の頃」


「ああ。懐かしいなあ。うん、家族で行った事あるよ」


「そうなんだ!」


 でも、どうして?確かにあそこは近県でもかなり大きな遊園地だったけど。もう終わってるし。もしかして、工藤さんも子供の頃、連れてってもらったのかな。


「ねね。ひょっとして、夏休み、暇ない?」


「暇は暇だよ」


 実家に帰る用事も予定もないし。というか、実家は隣の市だから、一々帰るほどの距離でもない。なんなら、先月にも家族でご飯食べたし。


「なら。皆でそこ、行かない?」


 え?


「行く。って。あそこまた営業始めたの?」


 そうだったの?全然知らなかった。


「ううん。廃墟のまんまだよ。だから行くの!廃墟ツアーってやつ!」


 廃墟って。もうちょっとこう。お休み中とかさ。まあ、それはそれとして。


「へえー。あー、でも、蚊取り線香は持って行った方が良いよ。丘の上というか、ちょっと山の中にある場所だから。もう何年も行った事ないけど、多分虫は出るよ」


「それで?」


「それで?」


 なに?


「小野くんは来ないの?一緒に行こうよ」


「ぼくが一緒に行っても」


 皆、あんまり楽しくなれないと思うな。自虐でなく、真面目にそう思う。喋らないからなあ・・・。


「良いじゃん良いじゃん。ドリームランド経験者が居ないと、はくが付かないしさ」


「箔・・・?」



 それからの事はあんまり覚えてない。


 ただ、強く否定しなかったからか。持ってくる物なんかを打ち合わせて、ぼくも同行する話になっていた。


 ま、良いか。


 夏だし、肝試きもだめしにはちょうど良いか。


 懐かしい。な。



「ひょう。雰囲気あるなー」


 この暑い夏のさなかにも長髪を崩さない彼は、長井ながい おさむ。同僚だけど、あんまり知らない人だ。工藤さん経由で集まった人達の中では、一番男らしいというか、アクティブでパワフルな感じ。物怖ものおじしないし、ぼくにも平気で話しかけてくる。


 このイベントを考えたのも、実は彼。それを工藤さんにぽろっと話したら、皆で行く事になったらしい。


 やはりというかなんというか、彼はホラーが好きで、廃墟探検も大好き。休暇を利用してはこうした場所に向かっているようだ。ここまで連れてきてもらった(ぼくは助手席でナビ役だった)車の中で、今までの写真も見せてもらった。丁寧にファイリングされた記事はレポートと共に見応えがあって、長井さんのマメさを感じた。


「ねー!超良いよねここ」


「大声出さないでよ!みっちゃん!」


「よっちゃんのが大きいよ」


 工藤さんに注意したのは、加茂かも 陽子ようこ。これまた工藤さんとぼくの同僚で、職場でも同じ部署に居るのでたまに喋る事もある。加茂さんはショートカットの髪をさらさら振り回しながら、周囲をキョロキョロ見渡している。侵入がバレないか、警戒しているのだ。


 言うまでもないが、今回ぼくらがやろうとしているのは不法侵入だ。警察を呼ばれると不味い。既に営業していないのだからそこまで重罪に問われる事もないだろうけど、怒られるのはイヤだ。


 それなのに、なぜぼくも付いて来ているのかというと、肝試しによそんちのお墓に行くよりは、まあマシかなと。怒られる度合いの意味でね。


 かくしてこの4人で遊園地に無断で遊びに来たわけだ。真夜中に。



「まあチェーンぐらいかかってるか」


 頑丈そうな正面ゲートをぎいぎい言わせながら、長井さんは入り方を考えているようだ。


 普段彼が訪れている廃墟なら、施錠されていれば入らない。なぜなら、面倒事になるからだ。うっかり管理者と出くわしでもしたら即通報後逮捕。そうでなければ、へんな連中と出くわし、これまた厄介事。それにホームレスが住んでいるのも珍しくない。風雨をさえぎってくれるのだから。


 だが、おそらく今回の建物でそれはない。人が住んでいるのなら、もう少し気配があるはずだ。自転車が並んでいたり、屋外にゴミが溜まっていたり。が、ぱっと見た所、そんなものはない。


 長井は危険性は少ないと判断。女性2人連れているので、安全策だ。・・・男の小野は頑張って逃げてほしい。


「越えられるか?」


 とりあえず、車からロープの付いた小さな脚立を用意。これで門を乗り越えて、出る時も同じ。


「よっちゃん大丈夫?」


「た、多分」


 刑務所じゃないんだから、へいも門戸も脱走や侵入を本気で防ぐための高さにはなっていない。営業していた時期、そこらは監視カメラやセンサーの役割だったはずだ。今は気にしなくて良いだろう。


 そして女子含む全員が無事に向こう側に下り立った。


「わ、わあ・・・。遊園地って事で、ちょっとワクワクしながら来たんだけど。すごい怖いね・・・」


 工藤さんの素直な感想が、その場の全員の総意だった。長井さんでさえ、こんな真夜中に来る事はないそうだ。廃墟というのは足場も悪いので普段は昼間にしか行かないそう。加茂さんは言うまでもなく。


 そんな中、ぼくは怖くもあるけど、こんなんだったかなあ、と記憶とのすり合わせに忙しくもあった。最後に来たのは中学の頃か高校か。とりあえず、5年は来てない。あれから何か変わったのだろうか。


「で、どこ行く?ぐるり1周してみるか?」


 長井さんの意見に、皆うーんとうなる。


 一応、総面積としてそこらの体育館何十個分かはある。ただ歩いて回るだけでも、それなりに時間が潰せるだろう。


「小野くんは行きたい所とかある?」


「うーん・・・」


 これがただの夜時間なら、メリーゴーラウンドとか綺麗なんだろうけど。営業やめて真っ暗だからなあ。


「まあ、長井さんの言う通り。うろうろしてみようか」


「だなー」


 ペンダントライトに地図をかざし、確認。昔ここに来た時のやつだけど。


「じゃあこっちからぐるっと」


「おー!」


 ぼくの先導に、工藤さんが小さな大声を上げて応えてくれる。長井さんと加茂さんも。


 4人の小冒険は、こうして始まったんだ。



 ここ10年内に廃業した遊園地だ。そこまでボロボロという事もない。


 ただ、風雨にのざらしで人の手入れのない器物はあっという間にちる。以前なら綺麗に管理されていたのだろう、雑草の目立つ通路を歩く。まるで掃除されていないから、落ち葉はつもり、小石が転がり、建物もわずかに黒ずんできている。窓ガラスも全て、汚れが見えている。


 周囲をライトに照らされるたび、以前の楽しかった思い出との落差が生じ、ぼくは忙しい気持ちになっていた。


「アクアツアー。か」


「面白いの?」


「ん。ちょっと、好きだったんだ」


 とある施設の前で立ち止まってしまったぼくは、工藤さんに話しかけられそう答えた。


 よく覚えている。


「なら、入ってみるか?」


 大型のハンドライトで建物を照らしながら、長井さんが明るく言った。


 そう、だな。いくらなんでも10年かそこらで倒壊するほど朽ち果てているとも考えにくい。


 入っても、大丈夫かな。


「足元に気を付けてね。ゴンドラは動いてなくても従業員用通路はあるはずだから、そこを行こう」


「おー!」


 園内のかなり内部に入り込んだので、工藤さんの声もひそひそ声ではなくなっていた。今は皆も普通のトーンで喋っている。


「みっちゃん、本当に気を付けてよ。足場はかなり滑りやすいはずだから」


 加茂さんの注意はもっともだ。水場が間近にあり、今は換気もされていない。


 ぼくらは一応、動きやすい服装だし、足元も運動靴に準じたものを用意したが。注意に越した事はない。


 入り口に鍵はかけられていなかった。というか、元々施錠するタイプの扉ではないのだろう。風で開かないように仕掛けられていたつっかい棒を取り外すと、あっけなくアクアツアーへの扉は開いた。


 アクアツアー。世界各地の河川、海洋をモチーフとした水旅行エンターテイメント。ツアー参加者はジェットコースターのごときゴンドラに乗り込み、水に隠れたレール上をひた進む。それだけのアトラクションだが、目に入る光景がころころ変わるので、大人も子供も楽しめる、過度に刺激的でない施設として人気が高い。スピードも出ないし、水しぶきもメチャクチャにかかったりはしない。


 今回はそのゴンドラは動かないので、完全徒歩での世界旅行と洒落込む。


「うおっ!」


 長井さんが驚いている。その反応はよく分かる。


 入り口から進んで最初に目にするのはゴンドラ、係員の立ち位置。そしてゴンドラの背後の壁に描かれた海蛇。


 立体的に描かれたそれは巨大な海竜であり、ポセイドンやレヴィアタンを彷彿ほうふつとさせる海の王でもある。実はゴンドラは、この海竜に乗るという意味だ。


 女性2人は、長井さんが驚いた後でその壁画を見たので、声を出してまでは驚かなかったようだ。


「すごーい・・。でも、もったいないね。こんなすごい絵なのに」


 感心したような声色で工藤さんがつぶやく。そのトーンは本当に、このパークの閉園を惜しんでいるかのようで、ぼくはちょっと嬉しくなってしまった。別に何度も来たとかそこまで強い愛着があるわけじゃないけど。地元の遊園地だからね。


「・・・じゃ、じゃあ行こうぜ」


 立ち直った長井さんが言う。ぼくもその言葉に従い、先導する。順番は、ぼく、長井さん、工藤さん、加茂さんだ。作業員通路はそんなに広くないので、全員で横並びには行けない。


 ゴンドラを置き去りに最初に目に映るのは、エーゲ海をモチーフにした石像や神殿の間を進むエリア。


 水音の全くしない静やかな暗闇の中に石膏像が光を反射する。


「蛍光塗料?」


「多分」


 工藤さんの疑問に、ぼくもおぼろげな記憶で答える。確か、前来た時は、ちゃんと見えてた。でもあの時は当然、施設内のライトもついてたしなあ。神殿や石膏像のセットをぼんやりと明るくさせるために、何か発光塗料を塗っているのは間違いないと思うんだけど。


 像の後ろ部分にある通路を歩き、次のエリアへ。次は南洋、紅海。機械仕掛けの大王イカや大タコが実際に触腕を動かして、ゴンドラ間近まで迫って来るスペクタクルエリアだ。


「すごいな。これが本当に動くのか」


 長井さんの驚嘆したつぶやき。それはぼくにもよく分かる。イカやタコの足の質感を見れば、どう見ても本物にしか見えない。しかもそれが単なるフィギュアに留まらず可動するのだから。信じがたい気持ちはよく分かる。


 そして南洋エリアを通り過ぎると、アクアツアーは既に半周している。次なるはエメラルドグリーンのまぶしいシーサイドリゾート。ラクーンや砂浜、サンゴ礁などがゴンドラから降りてすぐに立ち寄れるかのように表現されている。


「しかし、歩くと広いな。転ばないようにゆっくり歩いてるってのもあるけど」


「うん。確か、ゴンドラで数分。ゴンドラは人間の徒歩と同じくらいのスピードだから、今のペースだと出るのに10分くらいはかかるかな」


「だとよ。・・・工藤?」


「?・・・あれ?・・・加茂さん?」


 長井さんにつられて後ろを振り返ると、工藤さんも加茂さんも居なかった。


「まさか、落ちたんじゃねえだろうな・・・」


 恐る恐る。長井さんは落ちないように手すりを掴みながら、ゴンドラの通路である水面をのぞき込んだ。揺らぎのない暗い海だ。


「いや、多分それは大丈夫だと思う・・・。ぼくら2人共、水音を聞かなかったでしょ?」


「あー・・。確かに」


 ここは自分達の歩行音が反響して聞こえるくらい静かな世界だ。例えお喋りしていても、人間ぐらい大きなものが落ちたら絶対に気が付く。


「・・・トイレかな?」


「うーん・・・」


 男2人で悩む。


 一言、声をかけてくれれば良い話だが。言い出しにくいかも知れない。それで女2人連れ立ってトイレへ・・・。筋は通るが。


「トイレだったら、外にあるけど。ぼくらも出る?」


「良いや。最後まで行っちまおうぜ。どうせもう半分来てるし」


「だね」


 女性らに危険があるとも思えなかったので(例えば暴漢に襲われたなども無音では有り得ない)ぼくらは男2人ぶらり旅となった。


 とりあえず出口まで行けば、女性陣とも合流出来るしね。光のない世界で、懐中電灯を持っているぼくらは目立つ。


 そうしてぼくらは砂浜を抜け、最後のエリア、極地に到着した。


 南極、北極。ペンギンやシロクマ、アザラシにシャチ。そういった多種多様な動物が、オーロラ輝く光と闇の世界に息づく、ここアクアツアー最大の目玉ポイント。・・・電源が通っていれば、だが。電気が来ていない以上、像が林立し、壁画の描かれた空間でしかない。


「綺麗ですよね・・・長井さん。・・・長井さん?」


 返事はなかった。


 ペンダントライトで周囲を照らしてみても、誰も居なかった。



 ・・・やっぱり居るんだ。美味しかったかい?



 1人になったぼくは、ゆっくりと風景を楽しみながら、出口に向かう。あの頃は両親が居たけど、今はぼくだけだ。


キュッ、キュッ


 これはぼくの足音。靴裏が路面にこすれる音だ。


・・・キュウ


 これは「あれ」の鳴き声。ぼくにはずっと聞こえていたけど、皆は自分達の足音の反響音だと思っていたんだろうね。それも仕方ない。ぼくらの動くのに合わせて、あれも動いていた。


 長井さんは気付かなかったのかな。動かないはずのゴンドラが、ぼくらに付いて来ていたのを。


 さあ出口だ。もうぼくは出ちゃうぞ。


 おいで。



バクン




 数日後。行方不明の4人の男女捜索中、彼らの足取りの途絶えた廃遊園地に新たな名称が着いたのは言うまでもない。


 人食いドリームランド。


 多数の警察官、地元消防団などを動員した人海戦術にて捜索したにも関わらず、行方不明者の血痕すら見つからなかった。最後の足跡が発見されたのは、アクアツアー施設内部。そこから出て来た者は居ない。扉も厳重に鍵がかけられていた。それが現場検証の結果。ただ不思議な事に、人の靴の跡は徐々に人数を減らしていった。まるで1人ずつ順番に消えていったように。



 ところで。意味のある内容とは思えないが、元裏野ドリームランド従業員の捜査協力を得た所、見覚えのないオブジェの報告があった。


 ショートカットの髪型で、現代風のバッグを持った石膏像。


 大王イカの足に捕まっている、まるで生きているかのような質感の現代女性像。


 砂浜で日光浴を楽しんでいる男性像。ただし、なぜか必死な形相は業者のミスか。


 オーロラの光を浴びながら、幸せそうにペンギンらと並んで立っている男性像。



 全て、元のドリームランドには無かったはずのオブジェだが。捜索の助けにはならなかった。


 閉園と同時に水を抜かれていたアクアツアーの水路には何も隠れられないのだから。


 こうして人食い遊園地としての名を博した裏野ドリームランドは一時的に非公認観光地として有名になってしまった。捜査中は外側から。捜索が打ち切られてからは、行方不明になった彼らのように内部に侵入して。冒険報告もネットを中心に盛況となり、本物のスリルを味わえるスポットとして若者人気を集めていった。ドリームランド周辺に放置される自転車、自動車の類と、増え続ける行方不明者達、見知らぬオブジェの報告と共に。


 この現象はT市直々に施設を取り壊すまで続く事になる。




 遊園地って本当にスリリングなスポットですよね。


 皆さんはこの夏、遊園地に遊びに行く予定はありますか?


 でしたら、もしもアクアツアーで不思議な体験をしても、もう一度そこに向かうのは止めた方が良いかも知れません。


 小野くんと同じ末路をたどってしまうでしょうから・・・。

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― 新着の感想 ―
[一言] 小野くんの淡々とした最期が静かに怖い。 ひょっとして、とっくの昔に取り込まれていて、ようやく“帰って”来たのかな?とか思ったり。 そもそも、昔一緒に来た両親は無事帰れたのか?とか。 シンプ…
[一言] 前半部分、なかなか怖くならないのが、ホラーとしては、ちょっと残念です! もっと、こう、最初から、不気味な感じを出してもらえると、ありがたいのですが! ひょっとしたら、登場人物が、みんな、…
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