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ある魔心導師と愚者の話  作者: 藤一左
《禍根の瞳》編
1/42

プロローグ『答えの問いかけ』

『お前が守りたいもんはなんだ』


 と、向かい合ったそいつに訊ねられ、俺は疑問ごと否定する。


「そんなもんありゃしねぇよ。そんくらいは解ってんだろ。なんの嫌味だ」


 すると、そいつはさらに質問を重ねる。


『お前が守るべきもんはなんだ』


 その質問を、俺は嘲る。


「知らねぇな、と言いたいところだが、あれだ、俺はナルシストだからよ。自分が大事っつーわけで、俺が守りたいもんは自分自身だ」


 それは皮肉でしかなかった。だがその皮肉に、そいつは卑屈な笑声を上げる。


『成長したなー、ほんと』


 気色悪い笑みなのは、きっとお互い様だった。


「おかげさまでな。随分後ろ向きな成長が出来た」


 その返しは嫌味のつもりだった。だが、俺の嫌味に対し、そいつは満足げにこう言うのだ。


『後ろ? はっ、どっちが前かも解ってねぇのに、どの口が言いやがる』


 俺は黙った。沈黙の理由は、そいつの言葉の真意を掴めなかったからに他ならない。


『なら俺が教えてやるよ』


 口を閉ざした俺の代わりに、そいつは続ける。両手を広げて、得意げに回答を紡ぐ。


『お前が守りたいもんは――』




 そのやり取りの発端を、どこから語ればいいのか解らない。


 解らないから、一番最初まで遡ってみるとしよう。この場合での最初とはつまり、俺が一番最初に、「守りたいもんはなんだ」と、自分自身に問い掛けた時の事だ。


 そうさな、時系列で言うなら、始まりは小学生の時で、中学生では何事も無かったからスルーして、高校に上がってあいつと遭遇した時まで時間が飛ぶ。そんな感じだ。


 あらかじめ明記しておく。


 これは、心にも無い事を平気で言う嘘つきであり、心無いことも平然とやってのける薄情者でもある、そんなクズの物語だ。

昔書いていたアカウントが使えなくなってたのですが、どうしても書きたくなり、コピペで復元中です。


最初は早いかもしれませんが、途中から更新遅くなります。

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