金持ち男なので依存させた。
書きたいことだけ書きました(^o^;)最後まで見てください。
私の名前は、佐原 麻百合。通称はマリとかマリーちゃん。
極々普通……よりちょっと貧乏チックな家庭で生まれ育ち、人より少しだけ計算高いという部分を抜かせば、普通の少女だった。
「フランスから来た、ジャン・ダニエルよ。みんな、仲良くしてあげてね」
小学2年生の時、ソイツはやってきた。
先生が紹介したのは、フランスから来たらしい、髪の毛は金で目が青の奴だった。顔の善し悪しは余り分からない。
「よろしくおねがいします!」
と、奴はそういったが、外国人に免疫のない小学生のみんなは排除しようとする。だって、気持ち悪いから。
案の定、そいつはイジメられた。心無い暴言から始まり、そして直接的な暴力になる。そいつは当たり前に泣くのが増えた。
私は奴がいつ自殺しても構わないように、極力関わらないようにしながら、立場が悪くない程度に、面白がっている風に「やめなよ」と言っていた。
これで奴が自殺しても、私は責任を逃れる。と考えての行動だったのだが……
「マリーちゃん、ジャン君と……仲良くしてあげて」
先生は何を勘違いしたのか、そういってきた。まぁ、あのクラスの中では私が一番マシだと思ったのだろうが、検討違いだ。
だから、やんわりと嫌だといったら先生は泣きはじめた。
「お願いよ!!あの子の家は凄いとこの金持ちなの!イジメがこれ以上酷くなるら……私は……うぅ……」
金持ち……という所に私は耳を傾けた。
つまり、あの気持ち悪い『奴』は金持ちなのだ。つまりは金がくれるかも。
因みに、この時の金というのはリカちゃん人形の服とかそんなんだ。
「分かったよ。私もイジメはよくないと思うから……」
「本当!?ありがとう!!」
先生に感謝されながら、私は頭の中は金一色だった。
仲良くしていて損はない。イジメられるのと金なら、金が欲しい。仮に貰えないなら裏切ればいいやと思って、私は奴と仲良くすることにした。
「ねぇねぇ、私と仲良くしましょ?」
泣いている奴に近づき、私は無邪気さを装ってきた。幸いにも、奴は簡単にひっかかった。
「え!?僕と……仲良く……してくれるの?」
気持ちの悪い青目に涙を浮かべて、嬉しそうにそういった奴に私は笑顔で了承する。
「うん!!」
ぶっちゃけ、仲良くしたくない。気持ち悪い。けれどリカちゃん人形の為だと思って、私は仲良くした。
奴を慰め、奴を励まし、適当に優しい言葉を言えばコロリと奴は私に依存した。これも気持ち悪い。
「リカちゃん人形の服が欲しいな~…」
「わかった!マリちゃんにあげる!」
「ありがと」
よかった点と言えば、予想通り……いや、予想以上にジャンは金持ちで、リカちゃん人形の服を2,3着くらいと思ってたのが、200着くらい貰った。
小学校の高学年になれば、ゲームやソフトを私に貢ぎだした。
「あのね、中学に上がる記念に、これあげる」
「シャネルのバッグだ……」
んでもって、成長するに従って、奴の私への貢ぎものは次第に高価になってきた。
バッグ、靴、ワンピース……中学に上がる頃には、家が貧乏なことも合間って、私服は奴の貢ぎものになってた。
「麻百合ちゃん大好き……何でも好きなものあげるね」
ぶっちゃけ奴は私がいなくても大丈夫な気がするのに、何故か私にベッタリと依存したままだ。
身長が伸び、髪が伸びた奴は私にとっては未だに気持ち悪い『奴』だが、周りにとっては違うようになった。
あいつらは、奴が美形に見えるらしく、カリスマ性があるように見えるらしい。
私は公立に行く筈だったが、奴と奴の親に説得され、金を払ってくれるならと私の親にも説得されて一緒に金持ち高校に入学すれば奴はこう言われていた。
「あの人は僕たちの神様です」
生徒の言葉に大爆笑だ。
そんな奴が貧乏人に貢いでるなんて面白い訳がない。
「あの子って、最低だよね」
「たいして可愛く無いのにさ…」
影口を言われても、そこそこに立ち回りの上手い私はうわべだけの友達を作り、ニコやかに振る舞うことで、影口は言われても表立つことはなく、成ったらなったで奴に処理させていた。
そんなこんなで、そこそこに平穏な生活を送っていたのだが、いきなりそれは壊れた。
いつもの様にジャンの奢りで食事を一緒にしてたら、綺麗で可愛い美少女がいきなり来ていった。
「ジャンくん!!貴女は騙されてるわ!!」
確か……名字は忘れたけど真理亜だったと思う。
正義感が強く、この学園で起こっているイジメや問題を正し、イケメンが周りにいる……
まるで、乙女ゲームのヒロインみたいな子。
というか、何だこの気持ち悪い臭い。まるでバニラに蜂蜜をぶっかけて、花のエキスを大量に撒いたかのような臭いだ。
奴はポカーンとしているので、私が代わりにいう。
「いきなりどうしたの?私たち、ご飯を食べてるだけなんだけど」
「貴女ね!?ジャンくんを騙してるのは!」
「うーん、話きいてくれる?」
「知ってるのよ!?金目当てでジャンくんに近づいてるんでしょ?わかってるんだから!小学校の時、苛められていたジャンくんに近寄ったんでしょ?」
話きけよ。ってか臭い。
つーか、何でそれを知っているんだ。
小学校の時の生徒なんて、この学園にいないし、居たとしても覚えてない、よくて悪ふざけとかそんなんだ。
「あのね、何を言ってるのかちょっと分からないよ?貢ぎものっていうか、友達としてのプレゼントって感じだし…」
私は精一杯の笑顔でそういった。所謂、猫かぶりという奴だ。しかし、コイツはフフンと勝ち誇った
「 佐原 麻百合は、心の中ではジャンくんのことを『奴』って呼んでるのよ!」
ゾワ!!っと、鳥肌がたった。コイツ、マジで気持ち悪い。何でそんなことを知ってるんだよ。
まるで、私の存在を決められていたかのような錯覚。そして、コイツにだけは関わりたくないという気持ちがあふれでる。
気持ち悪い程に甘ったるい臭い。まるでこの世の臭いとは思えなくて、吐き気がする。
いっそ、奴を渡してしまえば……
「マリ……」
奴が怯えたように私を見ている。しかし、私にとっては気持ち悪い奴でしかない。本当に……気持ち悪い。
というか、この場面はジャンの問題だろ、私を巻き込むなよ。気持ち悪いな……
「さぁ!早くジャンくんを解放しなさい!!みんなもそう思うよね?」
「そ、そうね!可笑しいと思ってたわ!!」
「ジャン様を解放しろ!!」
外野がガヤガヤとそんなことを言い出してきた。集団心理というのは、こういうことをいうのか……愛するジャンの為なら何でもします?ってか?
それとも単純に私が嫌いなだけか……
うぇ……本当に真理亜の臭いがヤバイ。
分かった。今まで真理亜に男を取られた女はこの臭いでアウトだったんじゃないか?
「分かったよ……ジャンは解放する。もう私に近づかないで」
私がそういうと、外野は嬉しがった。それとは対照的に私は気持ちの悪さで思わずヘタリこむ。
「マリ!!」
そんな私を奴は抱き締めるようにして、支えた。
「なんで?……なんでそんな事をいうの?欲しいものがあるなら何でもあげるから!だから……捨てないでよ」
「うるさい……そんなのどうでもいい」
欲しいものなんてない。そりゃ、最初はそれが目的だったけど、途中からはどうでもよかった。
「ジャンくん、佐原 麻百合が見ているのは、財力だけなんだよ?ずっと騙されてたんだ」
勝ち誇ったように、真理亜はそういった。吐き気がする。気持ち悪い。気持ち悪い気持ち悪い……
つーか、騙してたって何だよ。ギブアンドテイクだろ。奴も満足だし、私も満足だったんだよ。
「捨てないで……」
奴は泣いている……あぁ、だからさ……泣き顔が気持ち悪いよ…真理亜なんかよりずっと気持ち悪いよ。
つーかさ、皆は奴の何処が好きなんだよ。こいつ、図体デカイし、舞台の上とかだと格好つけてるけど、本質的には弱虫で泣き虫な気持ち悪い奴だぞ……
「気持ちわる……
ジャンが気持ちわるすぎて……真理亜の気持ちわるさを凌駕しちゃったじゃん」
言語崩壊、意味不明。何言いたいのかサッパリ訳分からない。うん、アレだ……
臭いが消えた。
「マリ?……」
私は奴を背に……いや、少し手伝ってもらいながらも自ら立ち上がって大きな声で叫んだ。
「真理亜も外野もうるせーんだよ!!」
周りは一気にシーンとなり、真理亜も少しビクつきながらも、可愛い目をキッと睨み付けていった。
「う、うるさいって何よ!?さっき解放するって言ってたじゃない!!」
そうだ、私はコイツの吐き気のする気持ち悪い臭いで思わずそういってしまった。
「あぁ、解放する……過去のことを私はズルズルと言わないし、これで綺麗サッパリとジャンは解放される」
「マリ……」
「だからジャン……ジャンの考えで私を選んで。過去とかそんなの全部なくして……
ジャンは、私と真理亜どっちが好き?」
奴は……ジャンはハッとした顔で私を見つめた。真理亜は、可愛い顔を台無しになるくらいに私を睨み付けている
「僕はマリが好きだよ……大好き。知ってるでしょ?」
「うん。そうだね、ありがとう」
これは予想していた。ジャンは絶対に私を選ぶ。真理亜とかいう可愛くて素敵なだけの女より、私を選ぶと確信していた。
「そんな……」
嫌々、アンタって本気で選ばれる気だったの?バッカじゃねーの?
真理亜はしかし、ハッとした顔でいった。
「ジャンくん!いい?この子はジャンくんをずっと騙してたんだよ?ジャンくんの金が目当てなんだよ?」
「知ってるよそれくらい……何年、マリの側にいると思ってるの?」
真理亜はポカーンとしているが、よく考えれば当たり前のことだ。何年もいれば、流石にバレる。
「あとさ、騙す騙すって言ってるけど、お前らは友達に嘘ついたことないの?おい、そこの眼鏡とデコッぱち、お前ら嘘ついたことないの?」
完璧に無関係だと思っていただろう、外野のデコと眼鏡たちはビクついて全員目をふせた。
「だいたいな!お前が一番嘘臭いんだよ!!」
私は真理亜に向かって指をさした。一番嘘臭いのは真理亜だ。
「アンタって、なんなの?まるで作り物のような顔に、作り物みたいな声、しかも臭い!!時々設定とかフラグとか意味わかんないことブツブツ言ってるし……
アンタ、なんなんだ?」
私がそう指摘すると、真理亜は目を見開いて、いきなり頭を抱えてブツブツ言い出した。
こんなんじゃないとか、ストーリーとか、意味が分からないことを一通り言ったあと、真理亜は私に指をさして宣言した。
「私は愛されてるの!!アンタなんか……ただのモブの悪役なんか、消してやる!!」
まるで、今まで思い通りの世界を歩んでいたかのように、まるで駄々っ子みたいにそういって、真理亜は周りを気にせずに外へと出ていった。
「……なんだったの?」
「気にしなくていいよ。昔っからあんなのがよくいたけど……
消えたのは決まって『そういう』人間だから」
正直にいって、ジャンの言葉は余り分からなかったが、踏み込まないようにした。
事実、次の日、学校に登校すると昨日のことは無かったことになっていた。そして、真理亜についての事が全部消えていた。
みんなの記憶にも消え、まるで……最初っから無かったみたいに……
「ね?みんな、真理亜の記憶をなくしてるし、消えてるでしょ?」
「本当だ、真理亜がまるでいな……い……」
アレ?真理亜って誰だ?つーか、わたしは何の話をしているんだ?アレ?……
「ねえ、さっき何て言ったの?」
「ううん、何でもないよ」
ジャンはそういって優しく笑ったので、まぁいいやと考えた。
「ジャン、今日さ欲しいものがあるから買って!お願い」
「うん、いいよ。何が欲しい?」
「あのね~……」
私とジャンは今日もいつも通りに過ごしている。
……アレ?私ってジャンって呼んでたっけ?まぁいいや。
麻百合
計算高くて貧乏な子悪党。ジャンのことは最初は財布と思ってるが、意外と大切にしている。微妙にジャンに依存してる。
計算高いが、その計算を毎度消されているので、ジャンの危険には気づいていない。
ジャン
転生人でもなく、本当にここの住人。しかしながら、真理亜の記憶を消されずにいる。そのせいで若干人格が危険になった。真由理に深く依存しており、真理亜が嫌いだが世界が真理亜を中心に回っているので、自分からは危害を出さない。
実はバグのような存在。
良かったら、感想くれると嬉しいです。