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死神ラン  作者: ひまなお
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五話「初日終了」

学校も終わり生徒達が続々と笑い声を上げながら外へと出て行く。

そんな中、守は学校中を歩き回っていた。


一緒に帰ろうと思っていたランが見当たらないのである。


軽く30分は探し回っているであろうか・・・?

やはりランの姿は見当たらない。


さすがに諦め、先に帰ったのかと思い外に出ることにした。


「遅い!何をやっていた!?」


校門の前には先ほど自分が必死になって探していた人物が、カフェオレを飲みながら仁王立ちしている。


「な・・・なんだ・・・。そこにいたのか・・・(薄笑)」


「何分待ったと思っている?さぁ、早く帰るぞ。」


ふとランの手を見るとその手には昼に守が買って来たのとまったく一緒の、おびただしい数のカフェオレがある。(すでに一本飲んでいる)

軽く10本以上は有るであろうか・・・。

とりあえず両腕に持てるだけ買った・・・という感じだった。


「ラ・・・ラン・・・どうすんだよ?それ・・・」


守が目をこれ以上になく開き、ランの持っているカフェオレを見ながら言う。


「やらんぞ?私が飲む分だからな。」


「やらんぞって・・・一人でそれ全部飲むつもり?」


「何か文句でもあるのか?」


「い・・・いえ・・・(薄笑)」


どうやら昼に飲んだカフェオレが相当気にいったらしい。

まさか死神がカフェオレが大好きだなんて誰も思わないであろう。

そう守は心の中で思うとつい笑みがこぼれてしまった。


「なにか可笑しいか?」


「いや・・・別に(笑)」


「お前がいないから学校中探し回って買ったのだぞ?」


(・・・だから教室を見渡してもいなかったのか・・・)


そんなことを喋りながら二人は家路についた。

家に帰宅すると守は真っ先に台所にあるカップラーメンへと手を伸ばした。


「おい、それは食べ物か?夕飯前にそんなものを食べても大丈夫なのか?」


ランは仁王立ちをし腕を組み、不思議そうに守の行動を見て頭をかしげる。


「両親が二人とも年に数回しか帰って来ないんだ。だから夕飯は全部これ。」


そう言った瞬間守はあることに気が付く。

そう・・・守だけならばいつものようにカップラーメンだけでいいがランはどうだろうか?

さすがに「一緒にいたい」などと言っておいて夕飯がカップラーメンでは・・・。


「そうか、ならばさっそく食事にしよう。」


「・・・ごめん。」


何故か罪悪感で小さくなる守。


「何をあやまる必要がある?それ(カップラーメン)は食べ物なのであろう?何も問題はないであろう。」


ランは不思議そうに謝る守を見る。

どうやらランは一般の夕飯でもカップラーメンは普通だと解釈したらしい。


「いや・・・でも・・・」


「つべこべ言うな!!私は腹が減ったのだ!早く食べるぞ!」


そういうと勢いよく食卓のイスに腰を掛けるラン。

どうやら本当に空腹みたいだ。


「明日からは別のを用意しておくよ。」


そう言ってるうちに、ランはすでにカップラーメンのビニールをはがしていた。


「よし、先に食べているぞ?」


口を大きく開け、乾燥したまんまの麺に食いついた。


「・・・え!?」


「ボリッ」・・・ここでわかると思うがランはカップラーメンを見るのも初めてである。

お湯を入れずに食べてしまったのだ。


「お前・・・こんな物が夕飯なのか?・・・これは・・・あまり美味いものではないな・・・」


ランは大真面目にそう答える。

みるみるうちに眉間にシワが集まって行く。

二口目に行こうとするランの手を慌てて押さえ、口に含むのを止めさせる。


「食べ方が違うよ(笑)これはお湯を使って食べるんだ。」


そう言うと守は丁度沸いたお湯を二つのカップラーメンに注ぎ込む。

お約束通り、ランが3分たたずにすぐ食べようとしているのでそれを止めた。



−3分後−


二人は向かい合わせになる形に椅子に座り、カップラーメンを頬張った。

守はランが箸が使えないと思いフォークを手渡した。

案の定、守が箸を使って食べている姿をみて驚いていた(笑)

どうしてあんな二本の棒をあんなに器用に使えるのであろうか・・・と、いった表情である。



−さらに10分後−


「不思議だ・・・」


「へ?」


「あんな物がここまで美味くなるとは・・・」


空になったカップを見ながら腕を組み、しみじみとした口調でランはうなずいていた。


「美味かった?」


「・・・普通だ。」


そう言うとランは学校で買いだめしたカフェオレを取り出し始めた。

それを見た守が一言。


「家なんだしコーヒー入れるよ。」


「・・・こーひー?」


「まぁ・・・カフェオレみたいなもんだよ。今作るからちょっと待ってて。」


席を立ちランのと自分のコーヒーを手馴れた手つきで作り始めた。

出来上がったコーヒーを、ランの分だけ砂糖を少しだけ多目にして差し出した。


「どれ・・・」


ランが一口口に含む。

が、すぐさま眉間にシワがより・・・


「・・・不味い・・・」


「ええ!?砂糖が足りなかったかな?ちょっと貸して。」


そう言うとランのコーヒーにさっきと同じ量の砂糖を入れる。

もうここまで行くと市販で売っているコーヒーより甘いのは確かだ。


「これでどう?」


「・・・不味い、苦い・・・」


「いい!?」


守が驚いている間にランはすでにコーヒーから手を放し、自分の買って来たカフェオレを口にしていた。


(カフェオレとそんなに違いがあるもんかなぁ〜・・・?)


その夜、ランが先に風呂に入り次に守が入った。(守はランを気遣い、ランが入っている間は二階の自分の部屋で待機していた)

その後すでにランの姿は居間には無かった。


(もう寝たのかな?)


守はそう思い自分の部屋に行き明かりをつける。


「ふぅ・・・」


一日の疲れを吐き出すように、ため息をつきながらベットに座ろうとする守。


・・・プニっ


「・・・へ?」


まさかと思い、ベットに座ろうとしていた体制から必死に立ち上がると、すでにランが自分のベットで布団に包まっていた。

さらに、腰から下は毛布につつまれ見えなかったが上半身の着衣の乱れが激しい。


「・・・・・」


さすがの守もこれには唖然として声がでなかった・・・。

すでに寝ているランの姿を、体が固まったまま凝視してしまった。


「それにしても・・・」


起きている時のランとは思えないくらい可愛らしい寝顔で寝ているラン。

もともと体が小さいため、丸まって寝ているランの姿は余計に小さく見える。(それがまた可愛らしいのだが・・・)

守も男である。このような場面にでくわしてムラムラ来ないわけがない。


「ほんとにこいつは・・・キツイのか無防備なのかわからん奴だな・・・(薄笑)」


ムラムラする気持ちを抑え、無造作になった毛布をランに掛けなおした。

まだ9時過ぎだが、ランを起こしてしまうのは悪いと思い床に自分の布団を敷いた。


「・・・お休み。ラン。」


そう言うと守は部屋の明かりを消した。

当然中々眠れなかった。

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