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友情

久遠トワ(くおん とわ)

女子高校生。風紀委員に所属している。

人間観察が趣味。

ラベンダー色の髪とパステルカラーの紫のような色の瞳をしていて真面目そうな見た目をしている。


星鏡ネモ(ほしかがみ ねも)

女子高校生。トワと同じクラス。

特に委員会に所属はしていない。

「ちょっと近寄りづらいよね」とよく噂されている。

深緑色の髪にエメラルドグリーンの瞳をした、自然を象徴しているような見た目をしている。


棚裏ネリネ(たなうら ねりね)

主人公と同じクラスの男子高校生。トワと同じく風紀委員に所属している。

人間の感情や考えていること見抜くのが得意。

大体の人をフルネームで呼ぶ。

パステルカラーの水色のような髪色をして、深い海を映すような青色の瞳をしている。

トワの自宅にて

(ネリネくんはネモちゃんのことが好き…か)

わざわざそれを言ってくれたってことは私を信用してくれてるんだ。

ただ伝えたかったってだけなのは分かってる。でも、

(あの、あまり自分のことを話さないネリネくんがそれだけのために、急に好きな人の話をする……?)

ポイントは『急に』ってところ。ネリネくんとほぼ毎日顔を合わせて、話してきた身としてはすごく違和感がある。

なんだろう…この気持ち悪さ。すごくモヤモヤする……

今までこんなことなかったのに…



翌日、電車に乗っていたらネモちゃんを見かけた。今日は垂れ耳の犬のような髪型の結び目に黒いリボンをつけている。かわいくてずっと見てられる。

すると突然ネモちゃんがこちらに気づき、笑顔になった。

「久遠さん!!」

私は嬉しくて嬉しくて、悩んでいたことなんて一瞬で吹き飛んだ。

「ネモちゃん〜!おはよ!」

「おはよう!」

すごくニコニコしている。かわいい。

「久遠さんってネリネく……じゃなくて棚裏さんとよく話してるけど、なにも変なこと言われてない?」

「うん?言われてないよ〜!」

『ネリネくん』?絶対そう言いかけたよね。

なんで…?なんで私には『久遠さん』なのに、『ネリネくん』って呼んでもらえるの……?

私だって下の名前で呼んでほしいのに、なんで……

「久遠さん…?顔色悪いよ、大丈夫??」

そう心配して顔を覗き込んでくれた。

「大丈夫大丈夫!ちょっと寝不足だからかなぁ〜」

嘘ではなかった。謎のモヤモヤのせいであんまり寝られなかった。

「人のことばかり気遣ってないでさ、自分のことも心配してあげてね」

「えっ」

「最近疲れてるように見える気がして……休めるときはちゃんと休むんだよ?」

ネモちゃん……?

「よかったらこの入浴剤あげる!この匂いね、すごくいい匂いなんだ。リラックスできると思う!」

綺麗な美しい手で入浴剤を渡してくれた。

「ありがとう…!」

ネモちゃんの手、冷たかったな。

ネモちゃんのほうがずっと疲れてるように見えるよ……



学校から帰り、早速ネモちゃんからもらった入浴剤を使ってみた。

(まだ入れたばかりなのにいい匂い……)

(あ、私の髪色と同じ紫色の入浴剤か!ラベンダーかな)

「なんだろうなぁ、この感情」


(ネモ視点)

お気に入りの猫ぬいぐるみをぎゅーっと抱きしめる。するとベットに寝転び、仰向けになった。天井を見つめていたら、視界がぼやけ出した。眉頭にも力が入っている。

思わず起き上がると、やっと涙が出ていたことに気づいた。

「はぁ……」

なんでかわからないがため息が出た。


トワの自宅にて

「寝るかあ〜?でもまだ寝たくないな〜」

そんな怠けたことを言っていたらスマホから通知音が鳴った。

ネリネくんからだ。

「そういえばネモちゃんと連絡先交換したいな〜」

まだ怠けモードに入っていて、変なことを呟きながらネリネくんから送られたメッセージを見た。


「お悩みありましたら聞きましょうか?」


急にどうしたの?

そう打とうと思ったのに手が動かなかった。

段々とスマホの画面に涙の粒がポロポロ落ちていく。

突然そんなことを聞いてきたことに混乱ももちろんした。

(ああ、それはずっと私が欲しかった言葉だ)

でも、ずっと求めていた言葉を言ってくれたことの感謝と感動のほうが大きかった。

涙が止まらなかったが、頑張ってメッセージを送った。


「きいてほしい」


そう送って少ししたら電話がかかってきた。ネリネくんから。


「もしもし」

「もしもし〜、大丈夫?」

「大丈夫……」

つい癖で『大丈夫』だと言ってしまいそうになる。でもネモちゃんが今朝言ってくれた、あの言葉がフラッシュバックする。


『人のことばかり気遣ってないでさ、自分のことも心配してあげてね』


「大丈夫じゃない、かも」

心臓はうるさいくらいバクバクしていた。寒くないのに手も震えていた。もちろん口も震えていて歯がカタカタする。

「本音言ってくれて嬉しい。でももう安心して。自分はいつまでも久遠トワの話、聞くから」

涙が止まらなかった。今までそういってくれる友達なんかいなかったから、とても嬉しかった。

「昨日一緒に帰ってたときさ、久遠トワの悩みあるかすら聞けなかったじゃん?もしあるなら聞きたいなと思って、ああいうメッセージ送ったんだ。急にびっくりしたよね」

そういうことか、確かに。私はあのとき何も答えなかったな。

「ううん、嬉しかった」

私は込み上げてきた感情を吐き出した。

そして、一緒に考えてもらった。

ずっと周りにアンテナを張っていてきつかったこと。

自分の悩みから目を背けていたこと。

ネリネくんはネモちゃんに好意があると知ってから、理由のわからないモヤモヤが続いていたこと。

遅い時間まで付き合ってくれた。ちゃんと全部、最後まで私の話を聞いてくれた。

そして私が落ち着いたころ、

「そっかぁー。実は自分もね現実逃避してたことがあるんだ。でもそれが久遠トワを傷つけていたみたい……ごめんね」

「ええっ!?私はネリネに傷つけられてないよ!でもちなみに現実逃避してたことって……?」

「ええっとねぇ……その………」

言いづらいことなんだろう。言葉に詰まっている。

「ゆっくりで大丈夫だよ」

そう私が言うと、覚悟を決めたように小声で『よしっ』と言ってこう言った。

「久遠トワは、星鏡に対して恋をしてるって自分は気づいてたこと。多分ね、そのモヤモヤは嫉妬なんだと思う」

!?!?!?

私は驚いた。

とにかく驚いた。

そんなわけ、と否定しようとしたができなかった。

恋をしているとすると、全て辻褄が合ってしまうから。

「ほんとはね、自分は星鏡のこと好きってカミングアウトして、久遠トワに自分で気づいて欲しかったんだ。そうしたらあまり苦しまないかなって。まあ、久遠トワが自分を避けてしまうってリスクはあったけど……」

やっぱり、意味があったんだ。

「確かに…自分自身で気づけていたら早く楽になれていたのかも。でも今気づけてよかったよ!」

「それは…よかった」

言葉に少しだけ詰まりがあった。

(ネリネくんにも私と同じように悩んでほしくない)

自分でもなぜかわからないけどそう思い、元気づけようとした。

「じゃあライバルだね!私たち!!お互い頑張ろう!!」

「っ!うん!頑張ろうぜ!」

楽しそうないつもの声に戻った。

「ここまで話聞いてくれてありがとうね!じゃあ、また明後日学校で会おう!」

「うん!またね〜」

「またね〜!」


そう明るく終わらせたが、ネリネくんの言葉が何度も脳内で繰り返される。

もう深夜だからか、カチ、カチ……と部屋の中でなる時計の音だけが聞こえる。

(はぁ…これってほんとに恋なのかな………)

私ってネモちゃんが好きなの……?同性なのに…??

静かな部屋の中、周りに聞こえるんじゃないかと思うほど鼓動の音が激しかった。でも全く不快ではなかった。

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