揺れ
久遠トワ(くおん とわ)
女子高校生。風紀委員に所属している。
人間観察が趣味。
ラベンダー色の髪とパステルカラーの紫のような色の瞳をしていて真面目そうな見た目をしている。
星鏡ネモ(ほしかがみ ねも)
女子高校生。トワと同じクラス。
特に委員会に所属はしていない。
「ちょっと近寄りづらいよね」とよく噂されている。
深緑色の髪にエメラルドグリーンの瞳をした、自然を象徴しているような見た目をしている。
棚裏ネリネ(たなうら ねりね)
主人公と同じクラスの男子高校生。トワと同じく風紀委員に所属している。
人間の感情や考えていること見抜くのが得意。
大体の人をフルネームで呼ぶ。
パステルカラーの水色のような髪色をして、深い海を映すような青色の瞳をしている。
雛罌粟 スミレ(ひなげしスミレ)
ネリネと中学からの友人。
しかもネモの幼馴染である、男子高校生。
クラスは違うが、ネリネとは関わりはある。たまに一緒にゲームしたりする。
ネリネとスミレの間ではネモのことが好きだと言うことは共有しているほどの親友。
花火大会が行われるところへ向かっている途中、
「わぁ、この花かわいい」
宇宙みたいに、小さな星みたいな花がたくさん咲いていた。
綺麗というより、かわいかった。
「ほんとだ、この花は…ニーレンベルギアかな?」
「にーれん……?」
「名前長いよね笑」
そう言ってネリネくんは小さな星みたいな花を再び眺めた。
「星鏡に似合いそうだな……」
「え、めっちゃわかる」
そう私が答えた瞬間、ネリネくんはなぜかはっとこちらを見た。
「ご、ごめん。なんか浮かれてた」
「……えっ?」
急にネリネくんに謝られて頭が真っ白になる。謝ってくる理由がわからない。
「えっ??」
ネリネくんもそう言ってきた。
もう意味がわからなすぎて笑ってしまった。
「なんで笑うのさ!?」
そう言ったネリネくんも、笑い出した。
きっと何も知らない人からしたら、2人の学生が道端に咲いている花を見ながら謎に笑っているようにしか見えないだろう。
そんなことを考えて想像したらまた笑いが止まらなくなった。
ネリネくんもなぜか私と一緒に笑っている。
この光景があまりにもおかしすぎて、また笑いが込み上げてきそうになる。
少し笑いが落ち着いて、呼吸を整える。
「どうしようネリネくん、表情筋が痛いよ」
そう私が言ったら、再度ネリネくんが吹き出した。
「さ、ネリネくん、もう行くよ」
片手を口元に当てて、なんとか笑いを堪えながら私はそう言った。
「そうだね」
真面目で冷静な普段のネリネくんからは見れない、とても無邪気でかわいらしい笑顔だった。
「やっぱ人多いね……」
「そうだね……お互い迷子にならないように気をつけなきゃだね」
「だね…」
「リードとか持ってったっけな……」
「え?!自分は犬じゃないよ?!?!」
まさに私が求めていたリアクションをしてくれて面白い。
「じゃあー、こうしといてもいい?」
私はネリネくんの浴衣の袖を少しだけ摘んだ。
「ああ、いいねそれ!」
ネリネくんの浴衣の布が伸びてしまわないよう軽く摘んで人混みの中を2人で一緒に入る。
「あ!!焼きそばある!まって!?たこ焼きもあるの!?!?唐揚げも!?」
よだれが垂れそうになっている私を見てネリネくんはクスッと笑った。
「じゃあ、全部買って食べようか!」
そう言ってくれたネリネくんに感動する。
だって序盤からこんなガッツリ一緒に食べてくれる人は初めてだったから。
私と仲良くしてくれてた人たちは大体、
「わたあめ食べよ!りんご飴も!かき氷もいいよね〜!」
って、甘いものを食べたがる人たちばかりだったから。
「ネリネくんは他になんか食べたいのある?」
「んー」
手を顎に当てて考える仕草をしている。
「いやあ、久遠トワが言ったものがちょうど自分も食べたかったやつでさぁ」
微笑んでそう言った。
(こんなに気が合う人存在するんだ……)
「じゃあ一緒に食べよ!!」
「うん!買いに行こうか!」
一方その頃、
「ネモちゃんネモちゃん!近くで夏祭りやるらしいからよかったら行かない??」
幼稚園くらい?の頃からの幼馴染の雛罌粟スミレくんがそう言ってくれた。
誘われて断るのはさすがに申し訳ない。だから行こうかなと思った。
私は一重で目が怖いから、"あの日"から笑顔を特訓していた。自分に合う前髪も、髪型も。口調も優しくして、言葉も優しくした。
『いいよ!』って言うだけ。それだけなのになんでかすごく疲れる。
でも、今まで努力してきた完璧で優しい笑顔を見せて、程よい声の大きさで、
「いいよー!」
と言えた。
スミレくんは、ぱぁっと笑顔になりぴょんぴょん跳ねていた。
ネモがいいよと言うまでの思考時間、わずか0.2秒だった。
"あの日"から無意識のうちに思考時間が速くなっていった。
きっと、「早く答えなきゃ」「人の時間を無駄にさせるわけにはいかない」という気持ちが強かったんだろう。




