明るい朝に2
「こら、レオン! もう小屋に帰ると言っただろう!」
更に、そのあとから慌てた様子のフレイディまでやってきた。
レオンを追いかけて、あまりしないことだが駆け足だ。
「フレイディ様!?」
アマリアは目を丸くしてしまった。
こんなところで出くわすとは、思っていなかったのだ。
しかし考えれば自然だった。
フレイディは特別な用事がない限り、朝はレオンの散歩に出掛ける。
散歩は庭のこともあるが、外へ出ることもある。
今日はそちらだったようだ。
帰ってきて、小屋にレオンを帰そうとしたところ、レオンがこちらへ駆けてしまったようだ。
レオンはおそらく、においかなにかでアマリアがいると知ったのだろう。
「アマリア! どうしてここに?」
フレイディも驚いたようだった。
レオンのほうが数秒先にアマリアの元に着き、足元にまとわりつく。
ふわふわした毛並みがアマリアのワンピースに触れた。
フレイディは駆けるのをやめて、歩いてこちらへ近寄ってきた。
アマリアはしゃがんでレオンをひとつ撫でてやってから、フレイディを振り向いた。
「お散歩をしたいと思いまして……」
すぐ近くまでやって来ていたフレイディは、アマリアの返事に「ああ」と思い当たった、という声を出した。
「今朝は明るくて気持ちがいい風だね。散歩もしたくなるだろう」
自然な調子で言われて、アマリアの顔には微笑が浮かんでいた。
不思議なものだ。
こんな穏やかに反応できるとは思っていなかったのに。
「フレイディ様はレオンさんとお外へ?」
「ああ。レオンが歩きたいようだったから」
何気ない会話が交わされる。
しかしそのあと、フレイディがふと、先を指差した。
「少し話をしていかないかい?」
その先にはベンチがある。
日当たりが良くて、あたたかそうな場所だ。
アマリアはどきっとしたけれど、すぐに頷いた。
「ええ、私もお話したいと思っておりましたの」
するっと出てきた言葉に、フレイディはちょっと困ったように笑った。
「そうかい。それは嬉しいな」
その表情を見て、アマリアは確信した。
きっと良い方向へ行く。
悪いようにはならない。
だって二人とも、もう一度、心近付けたい。
そう思っているのは同じだろうから。




