絵の中の少女は3
「ごめんなさいね、ショックよね」
黙ってうつむいてしまったアマリア。
そのアマリアを気遣うように、フィオナがそう言ってきた。
「いえ、……はい」
一旦、否定が出てきたけれどすぐに思い直した。
こんな様子の上に、話が話だ。
ショックを受けていない、なんてことは言えるはずがない。
よって肯定したのだけど、それは良かったのか、悪かったのか。
ひとまずアマリアの素直な気持ちは、伝わったはずだけれど。
「だからフレイディはあのあとだいぶ塞ぎ込んでしまったの。持ち直すのには数年を要したわ」
フィオナの話は再開された。
アマリアは痛む胸を抱えつつも、聞く。
やはり自分は知っておかなければいけないことだ。
婚約者、しかもだいぶ気持ちが近かった相手だ。
それなら亡くして長いこと落ち込むのは自然なことだ。
どんなに辛かっただろう。
事情にも、当時のフレイディの気持ちにも、アマリアの胸は想像しただけでもっと痛んできた。
「それで、そうね、そのためでしょうね。年頃になっても縁談はすべて断っていたの。私も気掛かりだったのだけど……気持ちはよくわかるし……」
フレイディが今まで恋仲の女性がおらず、浮いた話もないというのは、アマリアがまだ実家のエヴァーレ家にいた頃から聞いていたことだ。
ハンナはじめ、メイドたちがそう話していた。
でもそれが、こんな理由によるものだったなんて。
あんなふうに、軽率に噂にしていいことでも、喜んでいいことでもなかったのだ。
アマリアは当時の自分、何気なくそれを聞いていた自分のことすら責めたくなった。
フレイディはずっと辛い気持ちを抱えていたのに。
「そんな事情よ。だから倉庫にあったエルシーさんの肖像画の記録を聞いて、思い出してしまったんでしょうね。なにかしら、思うことがあったのだと思うわ」
「そう、ですよね……はい」
アマリアはもっとうつむいてしまう。
あれだって、軽率に話題にすべきことではなかったのだ。
勿論、なにも事情なんて知らなかった。
悪意なんてあったはずがない。
でも結果的に、フレイディを傷つけてしまったのだ。
それは確かに自分のしてしまったことだ。




