絵の中の少女は1
「……なるほど。少女の絵ね」
客間のひとつでお茶を挟んで、フィオナに話を聞いてもらった。
アマリアは一通り、すべて話をした。
身内であるフィオナならかまわないだろうし、現状、一番適切な相談相手ともいえるだろう。
アマリアの話を聞いたフィオナは数秒黙り、そしてぽつんと言った。
「はい。実物はわからないのですが……」
話は一段落したので、アマリアはそう述べる。
フィオナはやはり、すぐにはなにも言わなかった。
用意されたお茶の支度に手を伸ばし、ティーカップを持ち上げてひとくち飲む。
アマリアもつられるようにカップを取り、こくこくとお茶を飲んだ。
話はそれなりの長さだったので、お茶はすっかりぬるくなってしまっていて、あまり美味しくはなかった。
「フレイディがどう思ったかはわからないけれど、その少女には思い当たるところがあるわね」
カチリと音がして、フィオナがカップをソーサーに戻し、言った。
アマリアは視線を上げてそのフィオナを見る。
固い目をしていた。
やはり軽率に話題にできることではないようだ。
アマリアは構えてしまうような気持ちになりながら、そっとつばを飲み込んだ。
聞いていいのかはわからないし、踏み込みすぎることかもしれないとも思う。
だけど聞いておきたい、と思う。
フレイディがなにを抱えているのか。
どうしてあんな怒るような、動揺するような様子を見せたのか。
知りたいと思う。
自分がそんな気持ちにさせてしまったのだから、償いの気持ちもあるが、それ以上にもうひとつ。
フレイディのことをちゃんと知りたい。
その気持ちのほうが大きかった。
「……どなたなのですか?」
よって口に出した。
声は意外としっかりした。
フィオナもここまできて、黙っておくつもりではなかったようだ。
アマリアの目を見つめてきて、静かに言った。
「フレイディが子供の頃、婚約していた方よ。マルティス子爵家の娘さん」
数秒、アマリアの中で時間が止まった。
頭の中にぽかんと空白ができたように感じる。
子供の頃……婚約……?




