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仲たがい2

「画家が残していったとは聞いたが、それほど役立つものだったとはね。もっと丁寧に保管するべきだったな」


 ちょうど持ってきていたそのノート。


 表紙も中身も綺麗にしてもらったそれを、フレイディは引き寄せてぱらぱらとめくった。


 あまり興味はないという様子だったが、丁寧な手つきだった。


 それはきっと、肖像画やアマリアにとっては大切なものだという気持ちだからだろう。


 しかも言ったのはそれだったので、アマリアは微笑になる。


 とても優しいひとだ、フレイディは。


「いえ、私が未熟ですから特に参考になったのだと思います。プロの画家さんには当たり前のことかもしれませんもの」


「そうかい? でもアマリアに役立ったのは確かじゃないか」


 ちょっと謙遜するように言ってしまったが、フレイディはそう返してくる。


 しかしアマリアはそこで、ふと、あることを思い出した。


 それはこのノートを見つけたときに、一緒に見たものだ。


 あの古い不思議なノート。


 こっちのノートがこの場にあることで、思い出したのかもしれなかった。


 なんとなく聞く機会もなかったけれど、聞いてみても良いのではないだろうか。


 倉庫にあったということは、レノスブル家になんらかの関わりがあるのだろう。


 フレイディが知っている可能性は高い。


 よってアマリアが悩んだのは数秒だけだった。


 口を開き、切り出す。


「あの、フレイディ様。こちらのノートと一緒に、ほかの資料もあったのですが」


 フレイディはノートから視線を上げ、アマリアを見た。


 穏やかな目である。


「そうなのか。絵に関するものかい」


 気軽な口調で聞かれたので、アマリアは考えつつ返事をした。


「はい。肖像画を描いたときの記録のようでした。ただ、レノスブル家の方を描かれた記録ではないようでしたので、どうしてでしょう、と思いまして」


 フレイディは首をかしげた。


 よくわからない、という顔になる。


「我が家の者ではない絵? そんなものがあるだろうか」


 フレイディ様もご存知ないことかしら。


 アマリアはそのように思い、それなら言ったところでわからないかもしれない、と思った。


 それでも、何故か頭に残ってしまっていた名前を口に出した。


「六歳くらいの少女の方で……確か『エルシー』様、とか書かれていたと思……」


 かしゃん。


 アマリアが説明した途中で、陶器の触れ合う音がした。


 急な鋭い音に、アマリアの言葉は止まってしまう。

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