知らない少女の絵2
アマリアはあまりメモを取る習慣がないのだが、画家によっては進捗や、思ったことなどを記録しておくことがある。
過去に肖像画を描いてもらったときは、画家がノートになにか書きつけていたこともあった、とフレイディに少し前、聞いたのだ。
それで俄然、興味が湧いてしまったというわけ。
自分で描く参考になるだろう。
なにしろプロの画家なのだから。
ノートや紙をまとめたものという形状だろうから、紙ものがありそうなところを重点的に見ていく。
あちこちものをどかしたり、引き出しを開けたりして、三十分近くが経っただろうか。
乱暴にするとほこりが立つので、ゆっくり進めていたのもある。
アマリアが探しに来たものは無事見つかった。
それはやわらかな革の表紙がついたノートだった。
表紙に年号や日付、そして大きめに『肖像画記録』と書いてあるのですぐにそれと知れた。
アマリアは見つけられたことに胸が湧きたち、またどきどきしてきた。
そっと表紙を開くと中の紙はやはり少々傷んで、黄ばんでいたけれど、読むのに支障はなさそうだった。
紙をめくり、少しだけ読んでいく。
求めていたものだと確信は深まっていき、アマリアは笑みが浮かんでしまった。
詳しくは自室で読んでみようと思う。
表紙を綺麗に拭いて、少しお日様に当ててほこりを飛ばして……じっくり読むのはそれからだ。
目的のものは見つかった。
これで良いことにしようかと思ったアマリアだったが、その肖像画記録が入っていた引き出しの中に、また別のノートがあるのに気付いた。
しかしこちらはアマリアが見つけたものより、もっと古いように見えた。
表紙が既に、破れたりしているところがあるくらいだ。
アマリアは興味を惹かれた。
同じ場所に保管してあるくらいだ。
同じように絵の進捗についてのノートかもしれない。
こちらも少し見てみよう。
そう思って手を伸ばしたのが、良かったのか、それとも間違いだったのか。
そっと表紙のほこりを拭い、開く。
さっきのノートと同じように見ていったけれど、すぐに疑問を覚えた。
肖像画を描いた記録には間違いなさそうだった。
けれど一体、誰を描いた記録なのかがまったく不明だったのだ。




