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今夜はひとつ、床の中3

 しかしそれには、盛大な呆れ声と同じ表情が返ってきた。


「きみは嵐の日にベッドに潜って楽しむ子供なのかい」


 やれやれといった声音で言われて、アマリアはちょっと膨れた。


 確かに自分の言ったのはその通りのことだけど。


 だからといって、呆れるように言わなくても、と思ったのだ。


「だってお外は嵐ですし、なんとなく……ひゃ!?」


 よって言い返そうと思ったのだが、そのとき変な声が出てしまった。


 フレイディが腕を伸ばしてきて、アマリアの肩に手をかけて、ぐいっと引き寄せてきたのだから。


 リラックスしていたところだったので、アマリアは簡単に抱き寄せられるままになってしまう。


 目を白黒させたときには、フレイディの胸にしっかり抱きしめられてしまっていた。


 目をまたたかせる。


 一体、これはどういうことかしら、と思ってしまって。


 ひとつ床に入るだけではない。


 しっかり抱きしめられているなんて。


「きみは少々無邪気すぎるね」


 フレイディがそう言ったけれど、アマリアにその意味はよくわからなかった。


 けれどその声がすぐ上から降ってきて、その声を発するために胸が動くのすら感じられたのは流石にわかった。


 とくとくと速い鼓動が伝わってくる。


 アマリアの顔が当たっている、フレイディの厚い胸からはっきり、直接、伝わってきた。


 そしてまるでそれが移ったように、アマリアの鼓動も一気に速くなる。


 ひとつ床の中で抱きしめられている。


 これは恋人がするようなもの……。


 思い当たった途端、ばふっと頭の中でなにかが弾けた。


 一気に頬と体が熱くなる。


「え、えっ、そんな、ことは」


 あわあわと言ったのだけど、返ってきたのはアマリアの体をしっかり抱きしめ直す腕の動きだった。


 しっかり、密着するように抱かれてしまう。


「仮にも夫と同衾するというのに、もう少し意識してくれないかい」


 はぁ、とフレイディがやがてため息をついた。


 困ったものだ、という響きだった。


 そのため息も直接伝わってきたし、それ以上に言われた言葉はアマリアをもっとどきどきさせてしまった。


 同衾。


 男女がひとつ床に入って眠ることだ。


 その艶っぽい響きもそうであるし、そのあと。


 意識してほしい。


 つまり、同衾する意味とか、フレイディの存在自体とか、そういったものをもっとはっきりわかってほしい、ということだ。


 そう、本来なら男性と、それ以上に夫とこうしてひとつのベッドに入るなんて、ひとつしか意味がないのである。


「……わかっておりますわよ」


 でもアマリアとてなにも知らない子供ではない。


 そのような状況であることくらいはわかっていたので、膨れるような声でそう言った。


 わかっていて、それでもと誘い、実行したあたりがやはり大胆なのであるが、アマリア本人にそういう意識は残念ながらあまりなかった。

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