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今夜はひとつ、床の中2

 子供の頃から一人寝が習慣であるのが、貴族の令嬢だ。


 誰かと床を共にするの自体、もう十年以上、下手をしたらそれ以上ぶりになる。


 だからそれ自体にも緊張してしまうのに、相手が更に問題なのである。


 男性であるだけではない。


 契約上とはいえ、自分の夫で、伴侶だ。


 そんな相手とひとつ床に入るなんて、想像もしなかった。


 契約結婚なのだから、こういったことは起こらないだろうと思っていたし。


 ごそごそと布の擦れる音が妙に大きく聞こえたが、やがて二人はベッドの中に落ち着いた。


 アマリアはどきどきしつつ、体の上にかけられた布団にくるまる形になる。


「まったく、きみときたら大胆なのだから」


 アマリアの隣に寝そべったフレイディは、ため息でそんなことをこぼす。


 ここまできておいて、とアマリアのほうがおかしくなってしまったくらいだ。


 横になっているところから、フレイディのほうを見て、笑みを浮かべてしまった。


「そういうつもりではないとおわかりのくせに」


「そうだがね」


 フレイディはまだ少し不満げだった。


 一本取られた気持ちなのだろう。


 そのあと少し沈黙が落ちた。


 部屋の中は薄暗かった。


 フレイディがベッドに来る前、アマリアが寝付きやすいようにだろう、部屋全体の灯かりを落としていたのだ。


 居室とベッドサイドに小さな灯かりがついているだけになっている。


 アマリアはその暗さで急速に眠気が湧いてくるのを感じた。


 ふぁ、とあくびが出てしまう。


 このような……嵐の中でお出掛けが頓挫して、集落の家なんてところに泊めてもらって。


 なんの寝支度もなく、普段着で眠ろうとしているなんて、本当に誰が予想しただろう。


 昼間、豪華なランチをいただいたり、チェスの勝負を見ていたときはまったく想像もしなかった。


 身の安全が保証されたことで、アマリアはこの状況をどこかおかしくも感じてしまうようになれたくらいだ。


 どきどきする気持ちが、まるで嵐が来たときの幼子のようなものに取って代わる。


「なんだい、笑っているようだが」


 その気持ちはフレイディに伝わってしまったらしい。


 フレイディが不思議そうに言ってきた。


 アマリアは気付かれたことに少々気恥ずかしくなったものの、素直に口に出した。


「いえ、子供の頃など、嵐の夜にこうしたものだな、なんて思い出しましたの」

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