今夜はひとつ、床の中1
ソファを立って、同じように立ち上がったフレイディが手を差し伸べてくれた。
それで二人、ベッドへ向かう。
ベッドには新品だろうカバーがかかっていた。
ベッド自体は素朴な作りだが、布団はふかふか、シーツはぴんとしている。
寝心地は良さそうだ。
その布団を持ち上げ、中に入ろうとして……アマリアはフレイディの手を掴んだ。
アマリアが布団に入るのを見守ってくれるつもりだっただろうフレイディは、きょとんとした顔になる。
「フレイディ様も休んでくださいませ」
その瞳を見て、どきどきしてしまいながらもアマリアは言った。
お言葉に甘えることにはした。
だがやはり自分だけ呑気に眠るというのは気が引ける。
それにいくら体力があっても、フレイディにとっても辛い環境には違いないのだから。
よって、この提案。
フレイディは数秒、考えている様子だった。
けれどすぐに表情が変わる。
一気に焦るようなものになり、その通りの声が出てきた。
「え、なにを言うのだ」
「なにをって……フレイディ様に休んでいただかないわけにはいきませんもの」
自分だって平然と言ったわけではないのに、と内心膨れてしまう。
心臓はその通り、どきどきしていた。
「い、いや、いけないだろう、そのような」
フレイディはおろおろと言い、でも今度はアマリアのほうが引くつもりなどなかった。
「良い子で寝るようにとおっしゃったのはフレイディ様ですわ」
フレイディの言葉を返すように言うと、フレイディはますます困った様子を見せる。
「きみ一人で寝てくれという意味だったのだが?」
そのようなことはわかっているに決まっていた。
それを承知で言ったのだ。
「いけません。フレイディ様をソファなどでお休みさせるなど、叱られてしまいます」
もうひとつ、言いつのる。
ここで自分がベッドを借りてしまえば、フレイディはさっきのソファかどこかで休むのだろう。
それでは疲れが取れるはずもない。
本当はこんなこと、緊張してしまうし、どきどきする。
そういった意味でないとしても、床を共にするという事実になるので抵抗がないとは言えない。
でもそれ以上に、『フレイディにしっかり休んでほしい』。
その気持ちがあるのだから。
「きみを叱る者などいるものか。……はぁ、きみには敵わないよ」
呆れるように言われたけれど、そのあとフレイディはため息をつく。
言葉通り、観念した、という響きだった。
そして身を乗り出して、ベッドに膝をかけた。
アマリアはどきっとしたけれど、こちらから誘ったことだ。
そっと動いて、自分は奥のほうへ詰めた。
ベッドは一応、一人で眠る想定の大きさなのだろう。
セミダブルほどの大きさで、普通のシングルベッドよりは少し大きめ。
それでもアマリアが小柄な女の子であるので、二人で眠るのに狭すぎるということはなさそうだった。
布団を大きく避けて、二人でベッドに入る形になる。
アマリアは壁側のほうに寄って、そっと横たわった。




