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二人きりの一夜4

「な、なにを……されます」


 しかしなんとか言った。


 それに返ってきたのはもっと刺激の強いことだった。


 フレイディの腕に力がこもり、しっかりアマリアの体を抱きしめてくる。


 おまけに次に言われた言葉は、アマリアの耳元、囁くような声量と響きで言われた。


「アマリアに辛い思いをしてほしくない。その気持ちだけだ」


 フレイディが言ったのはそれ。


 とても優しい言葉だった。


 声と言葉に、ぞくぞくっと体の奥が震える。


 このように囁かれたことなんて、あるはずがない。


 それにこんな……自分のことをとても大切にしてくれているなんて言われて、どきどきしないわけがなかった。


「それ……、は」


 もう一度、なんとかくちびるを動かして声を発する。


 でも何故か、アマリアの耳をくすぐったのは、ふ、という笑い声のような吐息だった。


 アマリアのほうは、もう一度ぞくりとしてしまうのに。


「迷惑かい」


 その細い声で言われる。


 ずるい、と思った。


 だってアマリアがそんなふうに思っていないことなんて、もう今ならフレイディのほうもわかるはずなのだ。


 なのにこんなふうに聞いてきて。


「そんな、……はずは、ないです」


「ではそうしておくれ」


 アマリアの声はもう途切れ途切れになってしまうのに、フレイディの言葉も、耳をくすぐる吐息も止まらない。


 その声で決定を言われてしまった。


 アマリアの肩に大きな手がかかり、そっと離される。


 アマリアはほっとしていいのか、何故かすかすかするように感じた感覚を寂しく思っていいのかわかなかった。


 ただ、とても優しいものになっているフレイディの瞳を見つめ返すしかない。


「さ、良い子で寝たまえ」


 今のものははっきりからかい、というか、茶化しであった。


 アマリアは緊張やらどきどきやらが少し散ったように思い、膨れてみせた。


「また子供扱いされますのね」


 普段のものに近い声音と言い方で言えて、何故か自分にほっとした。


「若奥様として言っているというのに……」


「そうは聞こえませんわ」


 やりとりはもうすっかり普通の空気に戻っていた。


 やはりほっとするやら、何故だか少し惜しいような気持ちがあるやら。


 しかしここまで大切にしてもらえていると伝えられて、これ以上抵抗などできない。


 よってアマリアはお言葉に甘えることにする。

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