好きになってほしい1
レノスブル家や領内、親戚などへの挨拶。
家でお迎えする場合はその接待。
レノスブル家若奥様として知っておくべき事項や作法の勉強。
勿論、肖像画の作業も。
アマリアの日々はせわしなく過ぎていった。
ただ、することがあるほうが良いわ、とアマリアは少々くたびれるものの、思うのだった。
肖像画に取り組めるのは楽しい。
けれどそればかりでは疲れてしまうし、煮詰まってしまうこともあるだろう。
だからといって遊んで過ごすわけにはいかない。
若奥様としてこなす仕事のようなものがあるのは、最適だったといえる。
今日はあちらの領へ馬車でお出掛け、明日は家で少しゆっくりしながらお作法の時間。
明後日はオフなので肖像画を……。
そのように過ごしているうちに、季節は過ぎて、もうすっかり冬になっていた。
半袖だったワンピースが長袖になり、今度はその上に上着を着るようになり……服からも季節の移ろいを感じられる。
レノスブル家の若奥様になったのだ。
これまで自宅で着ていたよりも良いものを仕立ててもらって、最近ではそれらを着るのがメインになっていた。
伯爵家の人間として相応しいクオリティのものを、というのもあるが、それだけではない。
お嫁入りをし、奥様となったのだから、少し落ち着きがあるデザインのほうが良いと言われたのだ。
色合いも、装飾も。
リボンは控えめになった。
大きなリボンはなくなり、つくとしても細めであったり小さめであったりするものになった。
レースも大きなものはなくなった。
ドレスにはついていて然るべきものであるが、ボリュームはだいぶ変わってしまったものだ。
着飾ることが特別好きというわけではない。
けれど、年頃の女の子としてかわいらしいお洋服は勿論好きであったので、アマリアは少々不思議に思うやら、変化をくすぐったかったり、寂しく思うやらだった。
しかしそれもすぐに慣れた。
新しいお洋服は嬉しいし、フレイディもその姿のアマリアを褒めてくれた。
「今日のワンピースもとても似合うよ」
ある日、肖像画の作業をしていたとき、アマリアが初めて身に着けた深緑色のワンピースを見て、顔をほころばせて言ってくれた。




