私の知らない貴方2
ふとそこへ、わん、わんっと大きな声がした。
アマリアがそちらへ視線を向けると、レオンがこちらへ駆けてくるところだ。
どうやら外で過ごしていて、お散歩中だったらしい。
「まぁ、レオンさん。今日もお元気ですのね」
微笑ましく思って、アマリアは立ち上がった。
ちらっとジェシカのほうを見る。
ジェシカはにこにこしながら手を差し出してくれた。
それに甘えて、アマリアはあずまやの入り口まで行く。
レオンはあずまやの中に入れてはいけないことになっているので、アマリアのほうから近付いた形だ。
「ええ、良いお天気だからお散歩日和なのよ」
そのあとからそう言いながらやってきた人物。
アマリアは顔を上げて彼女を見て、笑顔になった。
「お義姉さま! いらしていたんですね」
フレイディと同じ黒髪を艶やかに下ろして、ワンピース姿ではあるものの、シンプルかつ短めの丈で、活発な印象の格好をした女性は、アマリアにとって義理の姉になった存在。
フレイディの実の姉・フィオナという。
フレイディより三歳ほど年上で、既に近くの領へと嫁いでいった身である。
だが家自体がそう離れていないので、事あるごとにレノスブル家の宮廷へ里帰りをしに来るのだ。
よって、アマリアも出会う機会がそれなりにあり、もうだいぶ接するのにも慣れてきたといえる。
「ええ。お父様に御用があったので、ついでにレオンと遊びに来たの。ね、レオン」
レオンのかたわらにしゃがみ、頭を撫でるフィオナ。
レオンもフィオナが大好きなのだ。
気持ちよさそうにフィオナの手に頭を擦り寄せて、目を細めている。
アマリアはその様子を見て、くすっと笑ってしまった。
フィオナはフレイディに負けず劣らず、犬好きだ。
結婚していった家でも何頭か犬を飼っているのだという。
血筋なのか、単に幼い頃から犬が近くにいる環境だったからか……どちらかだろう。
「レオンさんもお義姉さまがいらして嬉しそうです」
素直にフィオナに甘える様子を見れば、明らかだった。
その通りのことを口に出したのだが、フィオナは自信満々に言う。
「それはそうよ。レオンのこと、今でも大好きだもの。今は毎日会えないのが寂しいくらいよ」
「そうですよね」
その言い方がおかしくて、アマリアはまたくすくすと笑ってしまったのだった。
「フィオナ、貴女もお茶をいかが?」
あずまやの奥から、やはり笑顔でこちらを見守っていたジェシカが誘ってきて、フィオナはそちらを見る。
「お久しぶりです、おばあさま。ええ、是非お邪魔したいです」
それでフィオナも交えてお茶になった。




