肖像画の真実4
「かしこまりました。……では、早速今日の作業に戻りましょう」
アマリアはスカートを持ち上げ、軽く礼をした。
一応、説明をしてもらったのだから、お礼は言わなければだ。
けれど直後、作業に戻ろうと発言したのには、また苦笑された。
「アマリアは仕事熱心だね」
感嘆なのか、呆れなのかわからないことを言いつつ、それでもフレイディもそのまま、モデルの立ち位置へ向かう。
「では、よろしくお願いいたします」
絵を描く椅子に腰掛けて、再び小さく礼をしてから、アマリアはクロッキー帳を手にする。
右手には鉛筆を持った。
もう決定したポーズを取るフレイディの姿をじっと見つめ、クロッキー帳に写し取っていく。
すぐにアマリアは夢中になった。
サッサッと鉛筆が紙の上を滑る。
このときばかりは絵のこと以外、頭の中にはなかったけれど、絵の時間が終わってからはまた頭に色々浮かんでしまった。
良いことにしてしまったけれど、やはり重大なことすぎた。
身に余るのではないかという懸念も、完全には払拭できない。
けれど自分がフレイディに言ったことも本当の気持ちだ。
それなら精一杯やるだけだ。
そう、宮廷画家なのだと思いましょう。
若奥様ではあるけれど、それは今のところ仮の姿。
私は宮廷画家。
フレイディ様のお姿を描くのがお仕事。
集中しましょう。
頑張りましょう。
アマリアは気合を入れ直した。
その気合いの入れ方をフレイディが聞いていたなら、やはり苦笑いでもしただろうけれど。




