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肖像画の真実2

 フレイディはアマリアが聞く姿勢になったからか、ちょっとだけくちびるのはしを上げた。


 続けていく。


「それにはどの画家にサンプルを描かせても『違う』と思ったと言っただろう。あれらでは本当に満足できないものになったはずだ」


 静かに話されていく内容に、アマリアの心は少しずつ、変わっていった。


 すなわち、「騙された」なんて良くない思考から、「自分を選んでくれた」という嬉しい事実のほうが大きくなっていったから。


 フレイディは不意に、こちらへ踏み出してきた。


 アマリアの前まで来る。


 手を伸ばしてきて、アマリアの手を取った。


 絵のモデルになるために着た豪華な衣装、その装飾である手袋の手で握られる。


 ほんのり体温が伝わってきて、アマリアに胸の騒ぎをもたらしてきた。


「だからこうして、アマリアに描いてもらえることになってくれたのだから、やはり言わなくて良かったのだ」


 アマリアの手をきゅっと握って、フレイディは言い切った。


 アマリアはもう、声を上げる気も、反論する気もなくなっていた。


 ただ、それを聞く。


 そのアマリアに、フレイディは微笑みかけてきた。


 ちょっと困ったような、申し訳なさそうな笑みだ。


「きちんと説明しなかったのは悪かったよ。だが、俺はきみの描いてくれた肖像画が欲しい。一生で一番大切になる絵を、本当に気に入ったと思う絵柄のきみに頼みたい。その気持ちは心からのものだ」


 真っ直ぐな言葉だった。


 心から、本当の気持ちで言ってくれているのだ、とアマリアにしっかり伝わってくる。


「だからそれに免じて、許してくれないだろうか」


 ずるい、と思った。


 そんなふうに言われて、「許しません」なんて言えない。


 自分の能力を認めてくれたことも。


 それほどまでに絵を気に入ってくれたことも。


 自分を是非にと望んでくれたことも。


 嬉しいに決まっているからだ。


 それは一人の女性の身で、というよりは、画家になる瞬間を好む身としての気持ちとしてである。


 アマリアは手を握られるままになる。


 ただ、フレイディの笑みでありながらも真剣な目を見つめ返すしかなかった。


 金色の瞳は穏やかで、優しい。


 心からの思いを口に出しているのだと、目を見てもわかるのだ。


 やがてアマリアはため息をついた。


 そっと手を引き、フレイディの手から離れる。


 フレイディは引き留めることなく、離してくれた。


 離れた体温に、自分で引いておきながらちょっと惜しさのようなものを感じたアマリアだったが、今は気にしないことにして、改めて顔を上げた。

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