初夜は甘くて、ほろ苦く……?6
それが本当にそうだったかは不明だが、フレイディは顔を上げる。
苦笑したような表情になっていた。
「そうか。ではこれからもっと頑張らないとね」
そしてそう言われたけれど、アマリアにはちっともわからなかった。
頑張るとは、なにをだろう。
肖像画のモデルになることを、ではないだろう。
「……なにをですか?」
よって聞き返したのだけど、やはり言われたことはめげないものだった。
「勿論、アマリアに好いてもらえるようにだよ。流石に、形のものとはいえ、夫婦だというのに愛がゼロだというのは寂しいからね」
堂々と言われたことは、またアマリアの頬を熱くした。
確かに自分の回答と照らし合わせるとそういうことになる。
けれど、はっきり言われてしまうのは恥ずかしいし、きまりが悪い。
アマリアは今度、立ち上がった。
フレイディを見下ろす形になる。
「そろそろおいとまいたしますわね」
もうだいぶ長いこと一緒に過ごしたし、そろそろ良いだろう。
いい時間になっているだろうし、本当に眠たくなってきてもいる。
今日は疲れすぎたのだ。
ゆっくり眠りたい。
その言葉には、目を丸くされた。
きょとん、という表現が似合うようなものにもなる。
アマリアのほうは首をかしげた。
どうしてこんな表情をされるというのか。
「帰るのかい!? そりゃあなにもしないとは言ったが、共に過ごすことくらい、一夜していたって……」
一夜!?
アマリアこそ目を丸くしてしまう。
一夜、共に過ごすつもりでいたのだという。
そういった行為がないのに、一夜一緒に過ごすというのは、アマリアにはよくわからなかった。
なにも起こらないのに、一緒にいるだけというのは不毛だとすら思ってしまった。
これもまた、アマリアのドライかつ呑気すぎることだったのだが。
「お話ならもうたくさんいたしましたもの。そろそろ眠たいですし……」
またしてもそれをそのまま言ってしまったからか、再び沈黙になった。
数秒後、フレイディはうなだれた。
はぁ、とため息すら聞こえてくる。
冷たかったかしら。
でも本当に、もう一時間以上はいましたし、じゅうぶんでは?
そんなふうに思ってしまったアマリアの横に、フレイディが立ち上がった。
そして手を伸ばしてくる。
「わかったよ。では部屋まで送ろう」




