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初夜は甘くて、ほろ苦く……?5

 いや、はっきり「愛している」などと言われたわけではない。


 単に「契約を結んで結婚の真似事をしてもいいかなと思うくらいには好き」という意味だ。


 実際、そうだろう。


 真実の愛かと言われたら、多分、だいぶ遠い。


 それならそんなに気にすることはない……と思いたいのに。


 アマリアが混乱しているうちに、フレイディの腕が伸ばされた。


 アマリアの肩に触れ、軽くではあるが腕に抱かれてしまう。


 この状態では、落ち着いてなど到底考えられなかった。


「アマリアはどうなのかな。俺のことを、単なる契約相手としか思わないかな」


 腕に軽く抱かれて、更に間近で優しい吐息が耳をくすぐる。


 どくん、どくん、と胸が高鳴る。


 きっと鼓動が伝わってしまっているし、顔が赤いのだって、見えてしまっているだろう。


 知られていると思うと、それが余計に恥ずかしさを加速させる。


 でもこんなこと、聞かれたって困るだろう。


 アマリアは口を開いた。


 自分の考えたことを言おうと思ったのだけど……。


「勿論、そうですけど?」


 一瞬、空気が止まったように感じられた。


 フレイディの動きがぴたりと止まったからだ。


 どくどく速い鼓動と、熱を感じながらも、アマリアはそろっとそのフレイディのほうを見て、口に出した。


「フレイディ様の肖像画を描くのが私のお仕事ですもの。フレイディ様は契約お相手ですし、そう思っております」


 フレイディの表情も止まっていた。


 優しい表情のまま、動かない。


 アマリアは身じろぎ、そっとフレイディの腕から抜け出した。


 力が緩んでいたからか、簡単に離れることができた。


 フレイディはなにも言わなかった。


 が、そろっと腕を引き、座り直した。


 数秒、沈黙が落ちる。


 やがてフレイディが口を開いた。


「そうか……、そうなのかい」


 まるで噛み締めているような、自分に言い聞かせているような声だった。


 アマリアの胸がちょっとだけ痛む。


 言い方が冷たかっただろうか?


 本当にそう思っているから言ったのだけど、言い方が悪かっただろうか……。

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