初夜は甘くて、ほろ苦く……?3
「でもだからといって、なにもないのは寂しいと思ってね」
しかしそこでフレイディが、まるでアマリアの思考を読み取ったようなことを言った。
アマリアの心臓が、どきん、と跳ねる。
なにもないのは寂しい……?
つまりなにかは起こるということだろうか。
急にどきどきしてきてしまう。
例えば触れるようなこととか……。
恋仲、いえ、既に夫婦らしいこととか……。
そういった経験など勿論ないアマリアは緊張し、構えてしまった。
でもその反応は、失礼にも笑われる。
「いや、そういうんじゃないよ。式が終わるなり、それぞれの部屋に分かれてしまうなど、素っ気なさすぎると思っただけだ」
苦笑するように言われて、アマリアは今度、恥ずかしさに胸の鼓動が速くなってしまった。
なにか、勘ぐったような自分のほうが意識していたようではないか。
言い当てられてしまうなんて、無性に恥ずかしい。
フレイディはただ、同じ場所で一緒に時間を過ごしたいという気持ちでいてくれただけなのに。
これでは期待していたよう。
思って、アマリアは内心大きく首を振った。
そんな、期待していたなんてことは、断じてないです!
自分に言い聞かせるように、心の中で言った。
アマリアの内心をわかっているのか、いないのか。
フレイディは話をはじめた。
しかしまったく、普通過ぎる内容だった。
「今日の式はどうだったかな。俺も出席なら何度もしたことがあるが、張本人になるのは初めてだからね、だいぶ緊張したが、アマリアのほうが緊張しただろうね」
何気ない、今日のことなんて話題になる。
アマリアはやはり、ほっとしていいのか、疑問に思っていいのかわからなくなりつつ、答えた。
「ええ、それは勿論。これほど大規模なパーティーがそもそも初めてですし、しかも主役になるなんて、だいぶ緊張いたしました」
改めてココアのカップを持ち上げてそう言ったアマリアに、フレイディは単に肯定する。
「そうだろうな。またしばらくは挨拶に向かったりすることもあるだろうから、そのときは頼んだよ」
「かしこまりました。精一杯やらせていただきますわ」
話はやはり何気ないものとして進んでいった。
ココアをお供にしたそんな会話は、アマリアにとって、安心とは少し違ったものの、嫌なものではなかった。
なにしろ伴侶になったフレイディとプライベートな場所と姿で二人きりなのだから、緊張する気持ちはある。
でもフレイディと過ごすのは心地良い。
それに、妙なことは起こらないとはじめに言われている。
もう過度に警戒する気持ちはなくなっていた。
フレイディは誠実なひとだ。
自分で言ったことを違えるなんてことはないに決まっている。
親交を深めてきたこの数ヵ月で、アマリアは信頼を覚えていた。




