初夜は甘くて、ほろ苦く……?2
「さぁ、どうぞ。冷めないうちに」
フレイディが横からココアを勧めてくる。
とりあえずいただいて、落ち着こうと思ってアマリアは手を伸ばした。
「ありがとうございます。いただきます」
手にしたカップはあたたかかった。
そっと包み込むようにして、口へ運ぶ。
ふわっと甘い香りが鼻をくすぐった。
まるでアマリアを落ち着かせてくれるような優しい香りだった。
「今日は本当にお疲れ様」
自身もカップを手にしてひとくち飲んでから、フレイディが切り出した。
アマリアも同じように返す。
「ありがとうございます。フレイディ様もお疲れ様です」
「ありがとう」
そんな自然なやり取りのあと、フレイディは本題だという口調に変わった。
「呼び立ててすまなかったね。契約結婚なのだから、初夜というのは関係ないと思っただろうに」
言われたことは、アマリアが不思議に思ったこと、そのままで。
きっとフレイディは「アマリアは不思議に思って自然だ」と予想していたのだろうと思わされた。
「いえ……」
返答しかけたけれど、言いかけて詰まってしまう。
ちょっと言いづらい。
初夜について話すというのは、あからさまでなくても、気が引ける。
それを読み取ったように、フレイディのほうから続けてくれた。
「本当に『初夜』を過ごすつもりはないよ。だって契約結婚なのだからね。きみだって困るだろう?」
言われたことはきっぱりしていて、『決定』だった。
だがアマリアにとってはとても助かることだ。
内容としても、明言してもらえたということも、安心できた。
「そう、ですわね。そういうことに……なりますね」
少し曖昧になってしまったが、答えた。
やはりはっきり言うのは恥ずかしく、ためらわれたのだから。
本当に、そういったことは起こらないのだ。
実感して、アマリアは心からほっとしたのだけど、しかしなんとなく、手放しで「都合がいい」とか「嬉しい」とか感じて良いのかはわからなくなった。
だって少し寂しいことではないだろうか?
夫婦になるというのに、なにも関係がないというのは。
いや、契約結婚なのだからそれで普通?
色々浮かんだものの、契約結婚など直面するのは初めてで。
そもそもそんな結婚の形があるなど知らなかったのだから、わかるはずもなかった。




