初夜は甘くて、ほろ苦く……?1
「ああ、いらっしゃい」
訪ねると、約束していたのだから彼は勿論部屋にいて、すぐにドアを開けてくれた。
しかしその姿にアマリアはどきどきしてしまう。
フレイディもくつろぐときの姿になっていたのだから。
こんな格好は初めて見る。
やわらかそうな白い布地の上下。
髪は普段通りのスタイルに戻っていた。
「さぁ、入って。もうすぐ飲み物も来るから」
「はい。お邪魔いたします」
アマリアはやはりちょっと緊張しつつ、招かれた部屋の中に入った。
フレイディの部屋は引っ越してきたとき、少しだけ見せてもらったが、そのときとまったく同じだった。
豪華で広い。
ベッドは見えないので、きっと奥に続いているらしきドアの向こうなのだろう。
メインに据えてあるのはローテーブルと、大きなソファ。
そのソファへアマリアは招かれた。
ベージュ色に、控えめな花柄が入っている布を貼られたソファは、ふかふかで、それでいてやわらかすぎず、座り心地がとても良かった。
アマリアが腰掛けてすぐ、ドアが再び叩かれた。
フレイディが返答すると、すぐに執事が入ってくる。
「本日はお疲れ様でございました」
執事はハリソンであった。
夜も更けているというのに、普段、働くときの執事服姿だ。
先ほどまでのパーティーでも執事として働いていたというのに、勤勉なことである。
カートに乗せられたカップの中身はココアだった。
湯気を上げているそれから、甘い香りが漂ってくる。
それをことりとローテーブルに置かれるので、アマリアはお礼を言った。
「ありがとうございます。ハリソンさんもお疲れ様です」
「おや、ありがとうございます」
アマリアの顔を見て、ハリソンは優し気な顔で微笑んで、あちらもお礼を言ってくる。
隣に座っていたフレイディも二人のやりとりを見て、笑みになった。
「では、ごゆっくりおやすみなさいませ」
ハリソンは飲み物の支度を整えただけで、礼をして出ていった。
アマリアとフレイディは二人で残される。
アマリアは改めてどきどきしてきてしまった。
初夜である時間に、結婚した伴侶と二人きりで、一体どう過ごせばいいのかと思ってしまう。




