結婚の日1
式は順調に進んだ。
大きな教会での式は、運良く晴天の日であったので、少々暑さが残っている以外はなにも困ることがなかった。
教会は広く、天井が高く、厳かな雰囲気だった。
来賓は皆、席に着き、両脇にはレノスブル家の両親と、アマリアの父と親族が控えている。
前に立ったアマリアとフレイディ。
牧師が静かに問うてきた。
「病めるときも、健やかなるときも、妻として愛し、慈しむことを誓いますか?」
フレイディは牧師を真っ直ぐに見つめ、静かな声で答えた。
「誓います」
そう答えるのなんて決まっていて、当然のことなのに、アマリアはどきっとしてしまった。
自分を愛すると誓ってくれた。
契約ではあるけれど、妻としてくれるのは本当なのだ。
とくとくと心地良く胸が騒ぐ。
喜びを覚えてしまったことに、なんだか自分で戸惑ったけれど、そんなことを感じている余裕なく、次にはアマリアへ同じ問いかけが来た。
「誓います」
アマリアもためらわずに返事をする。
そう、この方に嫁ぐのだ。
仮ではあるけれど、若奥様になるのだ。
そのことにもう異論はない。
それであれば、しっかり妻として自覚を持つだけだ。
アマリアは自分で発言した「誓います」に、改めて気持ちが引き締まるのを覚え、また、胸に刻み込まれたような気持ちになった。
そのあとは指輪の交換。
そして誓いのくちづけ。
だがくちびるにはされなかった。
先ほどと同じく、手を取り、手の甲へくちづけられただけだった。
予行演習でもそうだったから、そういうものだとわかっていたけれど、なんとなくアマリアは思った。
契約結婚だからなのかしら。
くちびるへのくちづけは、あまり相応しくないからかしら。
でも手の甲へのくちづけはやわらかく、あたたかく、また優しい触れ方で。
アマリアはそれだけでも胸がいっぱいになってしまったくらいだった。




