溺愛の予兆……?2
そのあとはほかの部屋を次々と案内された。
洗面所、バスルーム、手洗いといった日常生活に必要な設備、家のメインである大きな広間や応接室。
客間や使用人たちの部屋……までは案内されなかったが、「ここから先は使用人たちが暮らしたり、プライベートを過ごしているエリアだ」とは教えられた。
宮廷は広大だった。
作りは三階建てで、すべて歩き回るのに一時間近くかかったくらいだ。
最後に案内されたのは、フレイディの私室だった。
ここは中を少し見せてもらった。
豪華な家具はここまでと同じだったが、白と青系を基調としたシックな内装で、落ち着いた雰囲気だった。
アマリアは単に「この方のお部屋」として何気なく見てしまったのだが、そのあとフレイディが言ったことには顔を赤くしてしまった。
「いつでも訪ねてきて良いよ。例えば寂しい夜などにね」
恥ずかしくなる以外にも、また子供扱いされたも同然だったので、アマリアは赤い頬のまま、膨れた。
「子供ではございませんのよ!」
しかしフレイディの言ったのは以前のように、笑いながら謝るような言葉ではなかった。
「嫌だな、子供のするように訪ねておいでと言ったかと思ったのかい」
アマリアはきょとんとした。
子供のするように?
だってそういう意味でからかってきたのでは?
きょとんとしたけれど、それはどうも違っていたらしい。
不意にフレイディが距離を詰めてきたのだから。
アマリアは息を呑んでしまう。
「夫婦になるのだよ。共に過ごすのは当然だろう」
夫婦……共に……過ごす……。
頭の中で反芻して、アマリアの顔は今度こそ、真っ赤になった。
夫婦が共に過ごすこと。
なにをするかなんて、知識としてくらいは知っている。
その意味で言われたのだ。
そういったことをする可能性と、すぐにわからなかったことに、強い羞恥を感じてしまう。
「アマリアはかわいらしいから、契約だろうと夫婦になれたら、そういったことだって……」
するり、となにかがアマリアの頬に触れた。
フレイディが手袋の手で触れてきたのだ。
アマリアの小さな顔は、軽々とその大きな手に包まれてしまう。
どくんっと心臓が高鳴った。
そのままばくばくと速い鼓動を刻む。
こんなことを言われて、おまけにこんなふうに触れられて、近付かれてしまったら。
もう少し近付かれたら触れてしまえる。
どこって、『夫婦として』相応しい場所に……。




