フレイディの不思議2
アマリアはその話題には内心、首をかしげた。
「どうして?」
ハンナは当たり前のように答えてくる。
「そりゃあ、年頃のお嬢様ですからね。悪い男性に捕まってしまっては心配ですもの」
どうやらハンナは母のような視点からの見解で言ったことらしい。
アマリアはやっとそれに気付いて、苦笑した。
「そんなことはないわよ。だってお友達……ではないわね。なにかしら。まぁ、そういう恋愛的なやりとりではないのよ」
お友達、と言いかけて、それは違うと思った。
同性ではないし、年齢差も身分差もあって、気軽に友達扱いできる立場ではない。
ただ、今の関係に一番近い表現はそれであるのも確かだろう。
とりあえず関係性は置いておいて、アマリアはそんなふうに言った。
ハンナが優しい手つきで動かすブラシを受けながら。
「まぁ。わかりませんわよ。お嬢様はお年頃ですし、可憐でいらっしゃいますから、惹かれる男性などいくら現れても自然ですもの」
なのにハンナは見解を変えない。
アマリアはもう一度、苦笑してしまう。
「かいかぶりすぎよ」
確かに男性に好いてもらえたら嬉しいと思う。
貴族の令嬢として、いつかは結婚するのだろうなと思っている。
もしその相手が自分を愛してくれるのなら、きっと貴族の家によくある政略結婚であっても、それなりに幸せだろうとも思っている。
それでも、アマリアはあまり積極的に恋を求める気は、今のところなかった。
一人娘ということもあり、外に出掛けたりすることは稀であるし、つまりは出会いもない。
少々ドライなところもあるアマリアは、恋や結婚の話が浮上するにしても、お見合いに近いものなのだろうなと思っていた。
だから今は、大好きな絵を描いている時間が一番楽しいし、考えていることもそれが大半だといえる。
あとは勉強の時間もそれほど嫌いではない。
数学は少々苦手だが、本を読んだりする時間は好きだし、たまにある運動の時間も楽しい。
礼儀作法の時間だって苦痛ではない。
だから日々は楽しかった。
勉強をして、趣味の絵を自分だけのアトリエで描いて、家で穏やかに過ごして、たまには侍従に付き添われて外へ遊びに行ったりして……。
アマリアの世界はそれが大体すべてであり、満足していた。
今は新しい絵も順調に描けているし、余計に不満なんてない。




