白薔薇のサンプル画3
しかし、これが完成し、フレイディに渡したあとのことが気になった。
もし気に入ってもらえたら、フレイディが言っていた『肖像画』を依頼されてしまうのだ。
興味があるけれど、やはりだいぶ気が引けてしまうことだ。
それに、その肖像画はなにに使われるのかという疑問もある。
とはいえ、肖像画は貴族の成長機会には大抵描かれるものである。
フレイディは二十五と言っていたし、成人した頃に描いたものからしばらく経ったから、新しく欲しくなっただけかもしれない。
あまり追及するのも不躾だし、本格的に頼まれてしまうことになった時点で聞けばいいわ。
アマリアはそう思っておいた。
気に入られて、依頼となるかどうかは決定ではないのだし。
気に入られたいような……そのあとのことを思うと荷が重いような……。
アマリアの心はふたつの想いがあって、どちらが強いのかはいまいちわからなかった。
それでも、頼まれたのだから一生懸命描くだけだ。
自分の腕前と感性で、堂々と「こちらはいかがでしょう」と言えるような作品を作り上げたい。
そう心に気合を入れて、アマリアは休憩を終えることにした。
キャンバス前に置いた椅子に腰掛ける。
鉛筆を手に取った。
やわらかな芯で、最初のデッサン向けのものである。
少し先に置いたモチーフを見ながら、キャンバスの上に形を写し取っていく。
すぐアマリアは集中状態に入り込んだ。
純粋に描くことを楽しみつつも、真剣に。
サッサッと鉛筆をキャンバスに滑らせること、数時間。
「アマリア様、お夕食のお時間ですよ」とメイドが呼びに来て、やっとハッとした。
その時間には既に、デッサンはほぼ完成になっていて、キャンバスの上にはモノクロで花瓶の白薔薇が描かれていた。




