白薔薇のサンプル画2
本当は外の風景を描きたかった。
なにしろ緑が美しい季節だ。
フレイディと散策したレノスブル家の庭の美しさも、アマリアにそのような美しい光景を描いてみたい、という気持ちにさせていた。
だがあまり時間がない。
フレイディに話した通り、毎回外に出ては描けない。
外の風景はまた別の機会にするとして、今回はアトリエの中で作業できるものを選んだ。
「小さいもので」というアマリアの要望を受け入れてもらえたので、キャンバスはアマリアでも簡単に持ち上げられるほどのサイズを選んでいた。
横二十センチ、縦三十センチくらいのキャンバスだ。
ここに油絵の具で描いていくのである。
これならあまり時間も必要ではない。
なので植物を選んだ。
時間をかける大きな絵だと、植物は枯れてしまうから。
そこで思いついたのが、お土産にもらっていたあの白薔薇だ。
まだつぼみのものも何輪かあったから、描いているうちに開くだろう。
開いたところを描いたらきっと豪華になる。
大切に水に浸けていた白薔薇を、花瓶に挿した。
位置を調整し、綺麗に見えるようにする。
昨日は配置を決めた。
あちこち置いてみたが、窓から差し込む光で照らされる加減が美しい場所に据えた。
明るい季節なので、明るい色遣いにしたかったのだ。
それで少しだけ位置取りをして、昨日はおしまいだった。
今日は本格的にデッサンをはじめていたのだけど、それも少し休憩として、このあと実際に塗っていく絵の具を見ていた。
せっかくもらったのだから、新しい絵の具をメインに使うことに決める。
アマリアはサンプルとしてキャンバス布に塗ってみたそれらを、楽しみだと思う気持ちで見つめた。
こんな展開になるつもりで贈られたものではないのだろうけれど、結果的にはすぐ役に立つことになって、良かったといえる。
こちらからの返礼代わりにもなるだろう。




