白薔薇のサンプル画1
こちらにしましょうか。
でもこちらも濃い色ですから、コントラストがきっと美しくなるでしょう。
ああ、先日いただいた絵の具も本格的に使ってみたかったのです。
アトリエの中、アマリアは画材をたくさん作業テーブルに散らばらせて、あれこれ思い悩んでいた。
だが楽しい悩みである。
フレイディの宮廷訪問から数日後のことだ。
あの日、アマリアはたくさんプレゼントされた画材と共に、馬車で帰宅した。
勿論、帰る前にはあのお招きのメインであるディナーを振る舞われた。
初夏らしく、爽やかな料理が多かった。
生野菜のサラダはどれも新鮮。
スープはじゃがいものビシソワーズ。
魚のポワレは、レモンのソースが心地良い酸味をプラスしていた。
薄切りローストビーフもハーブが効いていて、ついつい次々食べてしまいそうだった。
アマリアとしては、料理が特別上等で、特別美味だったことより更に、フレイディとそれをいただく時間が楽しかった。
庭での散策、レオンとの挨拶、そして絵のこと……。
なにを話しても話は弾んだ。
とても楽しい時間を過ごしたあと、夜になりつつあった時間、名残惜しいながらも馬車に乗り込みおいとました。
フレイディはまたアマリアの手を握って、「また来ておくれよ」と言ってくれたものだ。
一緒にお話していて楽しいし、とても素直で丁寧な方だし、まぁちょっと子供扱いはされるけど。
お聞きしたところによると、フレイディ様は二十五で私より九つも上でいらっしゃるのだから、そこは仕方がないかもしれないわね。
そのようなことを考えながら、アマリアは楽しい気持ちのまま馬車に揺られて、屋敷へ帰ってきた。
夜も遅くなっていたのでその日はそのまま寝たが、翌日、訪問の報告をしに行ったとき、父には呆れられた。
その場には父に一旦見せるための、プレゼントも並べていたので、父はそれを見ながらやれやれという声で言った。
「あれほどの無礼を働いておいて、お招きにディナー、果てはこれほどの贈り物までいただいて……お前はやり手だな」
確かにあのときの父の剣幕からするに、そう思われても当然かもしれない。
アマリアは苦笑して「そのようなことはございません」と言っておいた。
そのプレゼントも使って、昨日から、頼まれたサンプル画に取り組みはじめた次第だ。




