1人と1匹の一夜1
翌日のことだ。
フレイディが出掛けていって、半日ほど経った夜。
勿論ランチの時間も、ディナーの時間もフレイディは不在だった。
今、どちらにおられるのでしょう。
お食事はなにをいただいたのかしら。
楽しくお過ごしかしら……。
なんだかフレイディと離れていることを、特に意識してしまった気がした。
おかしなことだ。
以前だって仕事で出掛けていって、そのときは数日泊まりになったこともあったのに。
そしてそのときは『ただお留守』と思っただけだったのに。
どうにも。
風呂も終わって夜も更けて、アマリアは自分の心を持て余してしまった。
もやもやするようで落ち着かない。
フレイディの不在が堪えているのは確かなことだった。
自分ではなんとなく思い当たることがあった。
すなわち、フレイディがいない。
そのことから、一日、二日という短時間ではなく、一ヵ月ほどあと、『ずっと』こういう状況になるときのことを想像してしまっているのではないか。
つまり契約の結婚が終わり、婚姻関係が解消されて、アマリアは実家に帰ることになる。
そのあとは当たり前のように、フレイディはそばにいないのだ。
平気だと思っていたのが嘘のようだった。
これほど落ち着かない気持ちになってしまうなんて、と自分に驚くくらいだ。
でもそれは覆せない。
慣れていくしかないのだ。
アマリアは、はぁ、とため息をついた。
そしてひとつのことが頭に浮かんだ。
少しためらったが、アマリアはそれを実行してみることにする。
そっと部屋のドアを開けた。
もう早い日なら寝ている時間だ。
宮廷の廊下は静かだった。
灯かりはついているが、昼間や夜の早い時間とは比べ物にならない薄明かりだ。
アマリアはその中へ踏み出し、静かに廊下を歩いた。




