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二人の蜜月2

 ただ、アマリアの少々ドライな面はなくなってはいなかった。


 フレイディから触れてくれることを嬉しく思う気持ちは勿論あった。


 けれど、絵に集中しているときなどは「またあとでもよろしいですか?」など、フレイディいわく『つれないこと』を言ってしまうのだ。


 アマリアとしては、恋と肖像画製作はリンクしているものだ。


 絵を立派に完成させることはすなわち、フレイディを想う気持ちが具現化するようなもの。


 そう捉えていたのでそういった態度だったのだが、フレイディにとってはやはり『つれない』という感覚になってしまう模様。


「若奥様はドライだね」と言う様子は残念そうであった。


 しかしフレイディとて、もうこんなアマリアとの付き合いも、もうほぼ一年になろうとしている。


 すっかり慣れてしまって、向こうも更にめげない様子になっていた。


「ではいつなら良いかい」


「絵が終わったらお茶でも飲もうじゃないか」


 そのように『代わり』を要求するようになるくらいには、図太くなったといえるだろう。


 その点はアマリアのほうが苦笑してしまう案件だ。


 しかしこのお互い持っている認識のずれは、おそらく奇妙に噛み合っていた。


 多分、もっと恋に詳しい者から見れば、駆け引きの類と捉えられるかもしれない。


 フレイディからはともかく、アマリアにとってそんな認識は欠片もなかったのだけど。


 ただ、気持ちに素直に従っているにすぎない。


 そのようなフレイディとアマリアの様子は、周りから見ても少し変わったと思われたらしい。


 義祖母のジェシカは「仲睦まじくてなによりね」とあたたかく見守ってくれるし、やはり頻繁に実家帰省をしてくるフィオナも同じであった。


「本当の夫婦になったようなものね」と言ってくれて、アマリアはくすぐったく思いつつも、「ありがとうございます」と、功労者ともいえるフィオナに厚く御礼を言った。


 周りから見ても、夫婦らしくなった。


 その点は喜ばしく、幸せなことだ。


 でもアマリアがあの日、朝の庭で話をしたとき確認したように、契約の結婚であるのは変わっていない。


 よって、この生活はいつか終わることになる。


 いや、『いつか』どころか、約一年という予定だ。


 つまり、あと二ヵ月ほどの予定であった。


 それを考えると寂しくなってしまう気持ちはあるけれど、最初からそう決まっていたことだ。


 仕方がない。


 アマリアのその思考は割り切りが良すぎたし、フレイディがもしその思考を知っていたなら、盛大に肩を落としたと思われる。


 けれど幸い、フレイディはアマリアの思考など読めない。


 ただ、夫婦関係に恋仲が加わった幸せな蜜月を味わっていたようだった。

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