表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
105/128

二人の蜜月1

 春という良い陽気も手伝って、アマリアの肖像画製作は順調だった。


 既にほぼ完成状態になり、気が済めばいつ終わっても良い段階まできていた。


 しかしアマリアとしては時間があるならもっと、もっと良いものにしたいと思う気持ちがある。


 よって「もう少し描き込みます」とフレイディに伝えていた。


 フレイディは「もうじゅうぶん完成に見えるがねぇ」と、しげしげと絵を見ても不思議そうにしていた。


 絵には詳しくないと自分で言っていたので、そう感じるのは自然だ。


 ただ、子供の頃から肖像画は何枚も描かれているのだ。


 画家がそういうこだわりを持つものだということは知っているようで、「気が済むまで描き込んでおくれ」と言ってくれた。


 フレイディの爵位継承式典用肖像画。


 晴れ舞台に相応しい出来のものにするのだ。


 その決意がアマリアをより集中し、またやる気を出させていた。


 これまで以上にアトリエにこもることになった。


 また、頻繁にフレイディを呼び出した。


「光の具合を見たいのです」とか「お顔の造形を照らし合わせさせてください」とか、色々と要求することもあった。


 フレイディは「宮廷画家様は仕事熱心だ」と苦笑しつつも、大抵それに応えてくれた。


 そのフレイディ。


 想いを告げ合っても、特になにも変わらなかった。


 なにも変わらなかった、というのは関係的にということだ。


 なにしろ既に婚姻している夫婦なのだから、これ以上進みようがない。


 恋仲というのも、気持ちの上ではそうなったとはいえ、名乗るのには『夫婦』のほうが結びつきは強い。


 よってやはり特に変わった点はないのだった。


 けれど、やり取りは少し変わった。


 フレイディはアマリアからも気持ちを告げ、想いが同じものとして通じ合ったのを、とても嬉しく思ってくれたようだ。


 事あるごとに、アマリアに愛を注いでくれるようになった。


 触れたり、抱きしめたり、肩を抱いたり……、体が触れ合うことも格段に増えた。


 勿論、これまでのものとは少し違う意味だ。


 今までのものは、『アマリアに好意を抱いてほしい』という気持ちでの、ある意味、求愛といえるものだっただろう。


 それが今は『二人の気持ちを確かめたい』というものになった。


 一歩も二歩も進んだこと。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ