あなたに恋をしたから3
少しだけためらった。
だがそれは、ただの羞恥からだ。
このようなこと、心に抱いたのが初めてなのだから仕方がない。
それに、伝えるのだって初めてである。
「……言わせるのですか?」
よって、そんなふうに言ってしまった。
ためらいがなかなか解けないのが、普段の自分とはまったく違うと感じてしまう。
アマリアは実感した。
恋をするとひとは変わる。
どうしても変化する。
今の自分は今まで知っていた自分とは少し違う自分なのだ。
自分の知らなかった面を初めて自覚すれば、やはり仕方がない。
「聞きたいんだよ」
なのにフレイディはそう言うのだ。
確かにそういうものかもしれないけれど。
アマリアは、そこだけはどこか冷静な自分に戻って思ってしまった。
けれどここまで要されて、退くのも情けないし、それに自分でもそうしたくはない。
どきどきする胸を叱咤して、奥から気持ちを取り出す。
「はじめは肖像画のことばかりでしたわね、私」
言ってから思った。
これはさっき、フレイディが苦笑で言ったような感情だ。
その通り、フレイディの表情には似たようなものが浮かんだ。
「そうだったね。それがもどかしく感じたことも多かったな」
「だって契約とおっしゃったのはフレイディ様でしたもの」
そんなふうに言われるので、アマリアはちょっと膨れることになる。
契約でと言ったのはフレイディなのだ。
そのまま解釈したのは確かに自分が単純すぎた。
だけど、でもそう言ったのはフレイディなのだという事実は変わらない。
しかし今、そこについて追及するところではない。
アマリアは話を元に戻した。
「ですから私は、契約と立派な肖像画を完成させることばかりが頭にあって……」
自分の気持ちを言葉にしていく。
言葉になることで、自分の中で、もっと本当のものとして根付いていくような心持ちがした。
「ですが、知らないうちに心は変わっていったようなのです。フレイディ様が私の中でどんどん大きくなっていって……、わからないことがあるのが寂しい、と思うようになりました」




