あなたに恋をしたから1
アマリアは感じた。
腕が、体が震えそうなのを堪えるためにそうしたのだろうと。
何故なら、フレイディが苦しそうに、なのにその中に嬉しそうな響きもある声で言ってくれた声は、まるで涙の代わりに吐き出したように感じられたのだから。
「フレイディ、様……」
アマリアは抱きしめられて少々詰まるような息で、それでもなんとかフレイディを呼んだ。
口に出してからわかった。
今、言うべきことを。
「私も、同じです。フレイディ様と出会って、色々なことがありました」
手を動かす。
強く抱きしめられている状態では難しかったけれど、なんとか持ち上げて、フレイディの背中に回した。
受け止めるように、抱きしめ返す。
「怒ってしまったこともありました。困ったときもありました。……どきどきしてしまったこともありました」
そっと目を閉じた。
フレイディと出会ってからの、数々の想い出が浮かぶ。
そして思い知った。
今、目に浮かんでいる想い出は、フレイディの持っているものと同じなのだ。
自分にも確かに、共有できた想い出や感情がある。
それはどんなに幸せなことか。
「でも、それらのすべてがフレイディ様のくださったものです。私は……いただけて、とても嬉しく思います」
自分でも意外だった。
こんな、愛を伝えるような言葉。
自分の中にあったのだと初めて気付いた。
おまけにそれはためらうことなく、するりと口から出てきた。
今、言うのが一番良いと思ったから。
とくとくと胸は騒ぐし、まったく羞恥がないとは言わないけれど、伝えられることも同じだ。
とても嬉しいこと。
「……アマリア」
アマリアの言葉は、きっとフレイディにしっかり届いてくれた。
フレイディが呼んできた言葉には、もう涙なんて混ざっていなかったのだから。
「ありがとう」
はっきりとした声音で言われた。
その言葉だけでなく、フレイディが心からそう言いたいと思って伝えてくれたことは、触れ合った体からすべて伝わってきた。
「いいえ」
アマリアも返事をする。
お礼を言いたいのは自分こそだ、と思ったから。




