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薔薇の庭と和解1

「薔薇がとても見事ですわね」


 案内された庭は、とてもよく手入れされていて、広大で、白い花が多く植えられていた。


 特に薔薇が多い。


 初夏なので、春薔薇だろう。


 アマリアは緑の木に咲くそれを、うっとりと見た。


 薔薇は好きだ。


 花としても、それから絵を描くモチーフとしても。


 こんな素晴らしいお庭、絵にしてみたらどんなに素敵でしょう。


 フレイディと連れ立って歩きながら、そんなことを頭の中で思う。


 それを読み取ったように、フレイディも言った。


「アマリア嬢は植物も描かれるのだよね。こういったものはどうだろう」


 ちょっとどきっとした。


 まるで描きたいと思ったのを読み取られたようではないか。


「ええ。描けたら楽しいだろうなと、ちょうど思っておりました」


 なんとなく恥ずかしくなりながら、アマリアは素直に言った。


 フレイディの目がちょっと丸くなる。


「おや、それは嬉しい」


 絵の話、花や植物の話……そのようなものを話題に、ゆっくり庭を歩いて回った。


 薔薇の美しさをアマリアが話題にしたからか、フレイディはそれを嬉しく思ってくれたらしい。


「少し切って、お土産に持たせよう」なんて言ってくれた。


 フレイディはアマリアのことだけでなく、自分のことも話してくれた。


 朝はいつもレオンの散歩に行くのだとか、この庭を歩くことも多いのだとか……。


 アマリアはそれを楽しく聞いた。


 庭は豪華でどこまでも続いていて、歩くうちにアマリアは、すべては回り切れないだろうな、と思った。


 なにしろ広大すぎる。


 エヴァーレ領には自然公園がいくつかあるが、そのひとつにも匹敵しそうな広さを持っていた。


 いや、全貌は不明なのだから、見えない場所も含めたらそれ以上なのかもしれない。


 アマリアは感動してしまった。


「……そうなんだ。外で描くこともあるのだね」


 話題はちょうど、アマリアが先日、スケッチのために外出をしたというものに移っていた。


 屋敷の近く、小さな丘で春の池をスケッチしたのだと話したところ、フレイディが興味を示してくれたのだ。


「はい。やはり自然光の下ではのびのび描けますから、本当はもっとお外で作業できればと思うのですけど」


 アマリアが野外での絵画を好みつつも、なかなか叶わないと話したのには、ちょっとうなられた。


 あごに手を当てて、なるほどという様子にもなられる。


「ああ……なかなか毎日外でというのは難しいだろう。天気もあるしね」


「ええ、そうなのです」


 三十分ほど歩いていただろうか。


 時間的にそろそろ戻るのかもしれない、とアマリアは感じた。


 フレイディが案内する形で歩いていたが、宮廷のほうへ足は向いていたからだ。


 あまり長々と外を歩くと疲れてしまうし、ちょうどいいところかもしれないわ、とも思った。


 貴族として、長く歩いたり運動したりということには慣れていないのだ。


「アマリア嬢、部屋に入ったら見せたいものがあるのだけど」


 そんな道を歩きながら、ふとフレイディが切り出した。

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