07 限界
ルルナさんからは、凄く綺麗な人って聞いてたけど、
あんな風に現実味がないくらい綺麗だなんて、
作りモノみたいで気持ち悪いだけでしょ。
正直、コイツには悪感情しか持てない。
名前、長すぎだから、
もうコイツでいいだろ。
ついて来なさいって言うから、
後ろを歩いてるけど、
すれ違う『エル女会』の人たちの、
コイツを見る目が、
何だかスッゲェ気持ち悪い。
憧れのまなざしって、
度が過ぎるとあんなになっちゃうんだ。
シュレディーケさんがあんな風になるなんて、
絶対に嫌だよ、僕。
荒事は苦手だけど、
シュレディーケさんに変なマネしたら、
絶対に、許さない。
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案内された小部屋に、
コイツとふたりきり。
「あらためまして、初めましてですね、フォリスさん」
「『エルサニア城下街勤労女子婦人会』でまとめ役をしております、ローガンフージュです」
何だろ、あまりにも声が綺麗すぎて、人間がしゃべってる感じがしない。
要するに、声まで気持ち悪い。
「ご用件は、奥さま?」
分かってんなら、とっとと会わせろ。
「ごめんなさいね、アレが終わるまでは事を荒立てたくはないの」
「あなたも大人しくしてね」
あなたもってことは……
お前、シュレディーケさんに……何した。
「大丈夫よ、一緒に大人しくしてもらうだけだから」
この狭い部屋、
弓の間合いじゃない。
解体ナイフはあるけど、
相手は女ひとりなのに、
全然勝てる気がしない。
でも、負けるのだけは、
絶対に、
イヤだ!




