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05 ひとり


 がんばって遠出までしても、獲物が無い日もある、それが狩人。



 こういうのも、ボウズって言うのかな。


 今度、シナギさんに聞いてみよう。


 なんたって仲間内でイチバンの釣り師さんですもんね。



 てなこと考えてるうちに、我が家に着いたのは、


 もうじき日も暮れようかという夕方。




 ---



 ただいま、



 ・・・



 うん、今日もひとりです。



 シュレディーケさんはいつものごとく、冒険者として大忙し、


 仲間たちからお呼ばれされて、パーティー組んで大冒険の旅!



 ……ではないのです。



『今日は泊まり込みで『エル女会』です』


 テーブルの上のメモに一筆……



 ---



『エル女会』こと、『エルサニア城下街勤労女子婦人会』


 最近、シュレディーケさんが夢中な、子育て支援組織です。



 子育てに不安のある奥さまたちが情報交換できる、息抜きのための楽しい社交場、


 くらいに考えていたのですが、


 何と言いますか、結構ガチ目な集まり、っていうか組織でした。



 元々は確かに、のんびりママさんたちのお茶会的な集まりだったそうですが、


 ひとりのカリスマリーダーの出現で、組織として在り方が変革されたのです。



 ローガンフージュ



 穏やかで慈愛に満ちたまなざし、


 相手を深く思いやる、優しく諭すような話しぶり、


 そして、乙女の若々しさと淑女の清楚さを合わせ持った、


 年齢不詳、と言うよりは、年齢要素を超越した、恐いくらいの美貌。



 ある日突然この街に現れ、いつに間にか奥さま集団の中心となったその女性が組織のリーダーとして祭り上げられてから、


『エル女会』の大躍進が始まったのだそうです。


 今では、その名称にとらわれず、各国に活動の輪が広がりつつあるのだとか。




 以上の情報は、全てルルナさんから。


 シュレディーケさんを最初にあの会に誘ったのはルルナさん。


 もちろん、こんなにどハマりされるとは思ってもみなかったのでしょう。



「シュレディーケさんがあまり深入りし過ぎないよう、しっかりと見守りますっ」


 そう言って、『エル女会』に付き添ってくれているルルナさん。


 責任、感じてるんだろうな。


 何だか申し訳ないのです……




 どうしよう、やっぱり一度きちんとシュレディーケさんと話し合った方が良いのかな。


 みんなからの冒険のお誘いを断ってまであの会への出席を優先するなんて、何だかシュレディーケさんらしくない、っていうか……



 いや、いかんぞ、僕。


 夫婦といえども踏み込んではいけない領域、あるよね。


 それに、"らしくない"なんていう決めつけも、良くない……と思う。



 シュレディーケさんがあそこまで熱中しているのは、子育てについて学ぶことに真剣だから。


 浮気でも倦怠期でもなく、シュレディーケさんが僕たち家族の将来について真剣に考えてくれた上での行動の結果、だよね。




 ……てな具合に気持ちに折り合いをつけようとはしているのですが、


 最近は、ひとり飯や、ひとりお風呂や、ひとり寝ばかり。


 それと、今みたいな、ひとりごと……



 やっぱり、さびしいもんはさびしいんですよ。



 ロイさんたちは、ひとりで悩まずになんでも相談、って言ってくれるけど、


 本当、どうしよう……



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