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23 ディープ


 我が家に帰ると、


 ルルナさんがリスト爺ちゃんのお相手をしてくれていました。


 さすがは筋金入りのおじいちゃんっ子ルルナさん、


 リスト爺ちゃんがゴキゲンのデレデレなのです。



 こんな空気の中、アレなこと言わなきゃならない、僕。


 でも、僕が始めたことだからこそ、


 ケリはきっちりつける。



 ---



「分からんかったのじゃな……」


 ごめんね、リスト爺ちゃん。


 期待させちゃったのに。



「わし、嬉しい」


 ?



「フォリスちゃんもディーケちゃんもルルナちゃんも、わしなんかのために一所懸命頑張ってくれた」

「わし、嬉しくて昇天しちゃいそう」


 昇天はやめて……



「それじゃ、わし、そろそろ退散」

「ルルガンさんによろしくのう、ルルナちゃん」


「はい、今度王都商店街でおデートしましょうねっ」


「わし、やっぱり昇天しちゃいそう」


「もう、おじいちゃんったら」



 おデートって……


 おっと、ひらめいた。


 アリシエラさんに、リスト爺ちゃん用の『Gふなずし』、お願いしちゃおうかな。



 アポ無し訪問ばっかだとすれ違いになっちゃうし、


 おデートの約束とかもいっぱいできちゃうし。



「フォリスちゃん、ちょいと見せとくれ、『爺くまむし』とやら」


 えーと、はい、どうぞ。



「最近の若いモンはこんなの使っとるんじゃのう」


 使い方、そんなに難しくないので、リスト爺ちゃんでも大丈夫……たぶん。



 ………………(注視)



 はて、爺ちゃんが『Gふなずし』をじーっと見つめておりますが。



「ほい、こんなもんかのう」


 ?



「要は、お互い遠くに離れておっても話せればええんじゃろ」


 はい、そういう魔導具です。



「じゃ、そんな感じかのう」

「今日は楽しかったよ」

「それじゃ、またの」



 リスト爺ちゃん、ちゃんと玄関から出て行ってくれたよ。


 それにしても、何だか大変な一日だった……



 ---



「じゃあ、そろそろお夕飯の支度、始めますね」


 はい、お手伝いが必要な時は遠慮なく、ですよ。



「駄目ですっ、フォリス家専属メイドとして生まれ変わった新生ルルナさんの大活躍、今こそお見せする時!」

「ご主人様と奥様は、そこのソファーで存分にらぶらぶしててくださいねっ」

「えーと、まだ明るいですし、あんまりディープじゃない感じで……」


 ほほう、参考までにお聞きしたいのですが、ルルナさん的にはディープなヤツってどんな感じなのかを具体的に……



 ゴツリッ


 イテェッ



「調子が戻ってきたのは嬉しいが、自重も忘れずに、な」


 そうですね、ルルナさんにはまだ早かったですもんね、こういうのは。


 じゃあ、さっきの質問はシュレディーケさんに……



『流石はフォリスちゃん、なかなかの攻めっぷりじゃの』


 いえいえ、とんでもございません。


 精霊王さまからお褒めに預かり恐悦至極、



 って、何で『Gふなずし』から爺ちゃんの声がっ。



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