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18 事情


 ローガンフージュさんに、お騒がせしましたと、お別れのご挨拶。


 いや、また来てねって言われましても……



 ってか、今回の遠征狩猟も、獲物は、1匹も、無し。


 これでいいのか、狩人フォリス。



 でもまあ、こんなんでも、僕なりにがんばってるんですよ。


 特に今日みたいなワヤ展開は、人がどうこうできるっていうレベルじゃないし。


 そもそも精霊さんたちって、人とあんまり関わりたがらない存在だったはずでは……




 いいや、もう。


 下手な考え休むに似たりってね。


 どうせ僕なんて平凡極まりない一般人な狩人。


 今さらジタバタしたってしょうがない、


 なるようにしかならんっての。



 そんなこんなで、開き直った、僕。


 リスト爺ちゃんの『転移』で、我が家へ。



 ---



 ただいま……



「おかえり、フォリスさん」


「おかえりなさいませ、ご主人様っ」



 うひょっ、お出迎えアリの我が家の、なんと幸せなことか!


 おふたりの笑顔を見た瞬間に、アレな狩りのことなんて、


 あさっての方向にポイってなもんですよっ。



「ええのう、両手に華」

「フォリスちゃん、お顔がゆるゆるじゃの」



 なんとでもおっしゃるがよろしい。


 幸せ家族にフォリス感激! ってなもんですよっ。


 お爺ちゃんにも幸せのお裾分けってことで、今日はお夕飯いっぱい食べてってね。



「それで、今日のフォリスさんの狩りの成果は?」


「なんたって我が家のご主人様は、魔灸の森イチバンの狩人ですもの、ねっ」


 うっ、誠に申し訳ございません……



 ---



 心配御無用でしたよ、夕食。


 シュレディーケさんの冒険先でのおみやげと、


 ルルナさんのお城勤めのお別れ会のおみやげで、


 今晩はかなり豪勢な夕食ですっ。


 って、お別れ会?



「お城でのメイド勤めはいったんお休みして、フォリス様たちのお世話に専念なさいと、ツァイシャ女王様が」


 ……よろしいのですか、ルルナさん。


 小さい頃からの憧れのお城勤めメイドさんだったのでしょう。



「もちろん、憧れ目指してまっしぐら乙女なんですよ、私」

「エルサニア城勤めのメイドになるっていう夢は叶いましたし」

「次の目標に向かって頑張っちゃいますから」


 目標?



「イケてるご主人様と素敵な奥様のらぶらぶなご家庭を全力でメイドサポートしちゃうっていう目標ですっ」

「覚悟してくださいねっ、おふたりともっ」



 あーなるほど、


 最近のお城勤務優先シフトは、あちらでのお仕事の引き継ぎだったのですね。


 それに、この様子だとシュレディーケさんの方は攻略済み、かな。


 では、今後ともお手柔らかに、です。



「もちろん今まで通りの通いのメイドですので、おうちらぶらぶのおじゃまはいたしませんっ」

「今まで以上に熱々なおうちらぶらぶしてくださいねっ」



「ええのう、おうちらぶらぶ」

「若い頃を思い出すのう」


 ほほう、リスト爺ちゃんもお若い頃はおうちらぶらぶざんまい。



「こう見えて一途なの、わし」

「でも、いくら好きだからって構い過ぎは厳禁だよ、フォリスちゃん」

「妻を亡くしてから、娘に構い過ぎたら、距離を置かれちゃって……」


 うわっ、それは悲しいですね。


 ご忠告、肝に銘じます。


 ちなみに、娘さんは今どちらに。



「分からんの、今どこにいるかも」

「何せ、隠蔽とか隠密とか、そっち方面の才能もちっちゃい頃から飛び抜けていた子だったし」

「わし、味方も多かったけど敵も多かったんで、あの子の身の安全のために闘い方よりもそっちの勉強ばかりさせたんじゃよ」

「おかげさまで、誰にも見つけられんくらい隠れるのが上手くなっちゃって」

「世界中の腕自慢の精霊が本気で探してくれても見つからんの」

「我ながら自慢の娘なの、凄いじゃろ」


 はい、確かに凄いですけど、


 リスト爺ちゃんが娘さんに会えないのは、やっぱり寂しいですよね。


 せっかくだし、何とかならないかな。


 おふたりとも、何か妙案、あります?



「むふっ、そういう事情でしたら、おまかせあれ!」


 おっと、ルルナさん?



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